特集「37.5歳はカラダのまがりかど」
飲み会の翌日がきつい、暴飲暴食がすぐカラダに出る……。37.5歳を過ぎると、着実に老いを感じはじめるもの。さて、老いの入り口に立ったオッサンたちはカラダとどう向き合えばいい? 今回は、エクササイズが三日坊主になりがちな人も楽しめる“週末スポーツ”。楽しんで鍛えられたら、それに越したことはないんじゃない?
「今年こそは引き締まったカラダを手にするぞ!」と意気込むも、コツコツとジムに通うなんて気持ちが続かない……。ならばスポーツはいかがだろう?
「休日に楽しむことから始めましょう。レクリエーション感覚でトレーニングできるから続けられるし、家族と挑戦してもいい」。
そう語るのは、サーフトレーナーの佐藤秀男さん。大手フィットネスクラブの統括技術部長などを経て、プロサーファーのパーソナルトレーニングを数多く手がけている。
まず「理想の体型」を知り、そして「己の体型」を知るとはいえ、カラダに合わないスポーツをしても効果は見込めないどころか、怪我の原因にもなるという。まずは目指すべき「理想の体型」を知り、その上で「己の体型」を把握することだ。
「理想の体型の指標は『体脂肪率15〜20%』。ただし、脂肪も筋肉もない状態ではなく、上半身と下半身、前後左右とも均一に筋肉をつけましょう」。
それに対し、中年に足を突っ込んだ男性の陥りがちなNG体型は3タイプ。あなたもどこかに分類されているかも?
「体脂肪率30%を上回り、全身に脂肪のついた『O字型』。脂肪も筋肉も少ない『I字型』。上半身だけ脂肪がつき、下半身にかけて先細りした『V字型』。これらの体型は服もキマらず、基礎代謝も落ちて疲れやすいカラダになります」。
頭を抱えるのはまだ早い。ゴールと現在地を自覚したら道筋も見えてくる。体型ごとにベストなスポーツとは?
O字型はウォーキング、ジョギング、水泳、トレッキング「O字型の人に必要なのは、基礎代謝の向上。彼らは脂肪による血流の鈍りから、基礎代謝を落としています。これでは脂肪も燃焼しづらく悪循環。まずは“痩せやすいカラダ”を取り戻さなければなりません」。
そのためにオススメなのは有酸素運動だとか。
「血液を運搬するのは酸素。1分間あたりの『最大酸素摂取量』を高めるほど血流は巡り、基礎代謝も上がります。ウォーキング、ジョギング、水泳、あとはトレッキングも有効ですよ」。
特にトレッキングは、登山時に太もも前面の「大腿四頭筋」、下山時に後面の「大腿二頭筋(ハムストリング)」を鍛えられる。こうした前後のバランスは重要で、前面ばかり筋肉がつくと前のめりの体型になってしまう。
「有酸素運動は20分から脂肪燃焼が始まるといわれていますが、実は最初から燃焼され、徐々に割合を高めていく。無理なく長時間続けることが大切です」。
I字型はフットサル、バスケ、ウエイトトレーニング「見た目はいいI字型ですが、筋肉不足のため病気になりやすい。まずは危機感を持ちましょう」。
割れていると思っていた腹筋も、実は脂肪がないだけ。大事なのは「筋腹(筋肉の膨らみ)」の大きさだという。
「筋肉量を増やすため、理想はウエイトトレーニングをすること。低負荷の自重トレーニングから行うといいでしょう。スポーツならフットサルやバスケット。バランスよく筋肉をつけられる全身運動がおすすめです」。
また、暖かくなってきたら、こんな選択肢も。
「サーフィンは最高の全身運動。ボードに腹這いになる時には広背筋、波を掻く『パドリング』ときには肩甲骨、立つときには『ツイスト』という“ひねり動作”があるためウエストも運動できます。アスリートのような逆三角形のスタイルを目指せますよ」。
V字型はサイクリング、ノルディックウォーキング「男性は上半身が太りやすく、下半身は太りづらい。上下の体脂肪率に10%もの差がある人もいますよ。改善しないと上半身の体重が負担になり、ひざ関節痛や坐骨神経痛の原因になります」。
そんなV字型に推奨したいのが、O字型と同じく有酸素運動。ウォーキングなどでは上半身の体重が足腰にのしかかる。
「一番はサイクリングでしょう。体重はバイクが受け止めてくれるし、長時間続けられるのもいい。まずは20キロから挑戦しましょう。長く思えるかもしれませんが、景色と疾走感を楽しめばあっという間ですよ」。
「また、注目を集めつつあるのがノルディックウォーキング。ポールを持って体重を支えながら歩くため、腕や肩甲骨も運動できます。高齢者のリハビリメニューの印象がありましたが、おしゃれなポールも増えているので、ブームに火がつく日も近そうですよ」。
37.5歳はカラダのまがりかど。なら、新たにカラダを動かす趣味を持つタイミングとしても、ちょうどいいはずだ。もちろん種目への興味はあるだろうが、始めてみると案外楽しいもの。あとあと「やっておいてよかった」と思えるように、“いい機会”の訪れをどうかお見逃しなく。
取材・文=佐藤宇紘