モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは…… 本日の相談者:45歳、広告代理業「私は、これまで営業や企画職のキャリアを積んできて、管理職に昇進してからも基本はこれまでの経験を活かしてマネジメントしてきました。
ところが最近、兼務発令され、新規事業開発を任されることに。そこにはITエンジニアやデータ解析のスペシャリストなメンバーばかりで、畑違いもいいところです。どうやってマネジメントすればよいのでしょうか?」。
アドバイスしてくれるのは…… そわっち(曽和利光さん)1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。
管理職なら昇進すればよくあること
私は人事畑ですが、過去、総務や広報、健康保険組合などのマネージャーをしたこともあります。
ライフネット生命時代には経理部長まで拝命しました。管理会計経験はありましたが、本格的な経理業務などしたことはありません。メンバーたちは公認会計士や看護師など高度なスペシャリストであり、私はマネージャーでしたが知識などはまったく及びませんでした。
私も不安でしたが、メンバーの方もとても心細い気分だったと思います。ですので、相談者の悩みはイメージできるつもりです。
しかし、管理職という仕事では、昇進をして自分が見る範囲が広くなれば、このような状況ことはよくあることです。
スペシャリストは依頼人からの信頼がやる気の源
私も人事のスペシャリストとしてもやってきたので、そちらの側の気持ちもわかるつもりですが、まず、自分の領域においてプロではない上司には、「ぜひ任せてくれ」となるのではないかと思います。
上司が力不足なのに、無理に首を突っ込んで的外れな口出しをしたり、自分が理解できないからという理由で提案を却下したりしていると、メンバーのやる気はみるみる失われていくことでしょう。
会計士でも弁護士でも技術者でも、スペシャリストは依頼人がいて成り立つ受け身な仕事です。そのため、やる気の源は依頼人からの信頼や感謝です。
信頼されていないと思えば、やる気が下がるのは当然です。
どれだけリスペクトの念を抱くことができるのか
ただし、「任せる」ことは「丸投げ」ではありません。
面倒臭いと思うかもしれませんが、「僕にはわからないから適当にやっておいていいよ」ではなく、その人の真価をきちんと評価するからこそ頼って任せるのだ、というやり方でなければ、スペシャリストのテンションは上がりません。
例えば、あまり食に興味がなく、何を食べても感動もしないような人に対して、プロの料理人が腕をふるおうと考えるでしょうか。
おいしい料理を作ることができる人に対するリスペクトを持ち、期待感を見せるからこそ、料理人は頑張っておいしい料理を作ってくれるのです。
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