モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは…… 本日の相談者:41歳、メーカー営業職「会社が今年度から、えるぼし認定やくるみん認定を目指すこととし、職場環境の改善を図ることになりました。
これまでも女性の働き方にはかなり気を配ってきたつもりですが、私が男性ということもあり、腫れものにさわるような過剰な接し方になっているようにも思います。男女は平等だ、というのは重々承知ではあるのですが……」。
| アドバイスしてくれるのは…… そわっち(曽和利光さん) 1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。 |
「えるぼし認定」「くるみん認定」とは
まず、「えるぼし認定」とは、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な会社に与えられる認定です。
「くるみん認定」とは、子育てサポート企業として行動計画を策定して、定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした会社に与えられる認定です。
後者は最近では男性も育児休暇を取得する人が増えているので(そもそも認定基準の中にも入っています)、けして女性だけを対象としたものということではありませんが、現状としてはこの2つの認定は、主には女性の働き方に対して影響を与えるものと言ってよいでしょう。
日本はまだまだ女性が活躍しにくい社会
男女問わず各人の個性を活かして社会に貢献することができることは、人が等しく幸せに生きるためにはとても重要ですから、女性が働きやすい世の中になる動きは素晴らしいことです。
しかし、日本において、未だ女性が働きやすい環境になっているとは残念ながら言い難いのが現状です。
例えば、世界経済フォーラムが発表しているジェンダー・ギャップ指数(各国の男女平等の度合いを示した指数)では、日本は156カ国中、なんと120位です。
この指数には教育・健康・経済・政治と4つの領域があり、教育と健康は高いスコアなのですが、政治と経済が低いスコアとなりこのような結果になっています。
どのくらい女性が活躍できていないのか
わかりやすい例を挙げると、政治については、日本は国会議員の女性の割合は10%に満たないですし、女性総理大臣も未だ出ていません。
経済の面で言えば、2021年版「男女共同参画白書」によると、このコロナ禍における雇用情勢の悪化によって、2020年の第1波での就業者の減少をみると、男性は1カ月あたりで39万人減少したのに対し、女性は70万人も減少しています。
ほかにも、帝国データバンクが2021年に実施した調査での女性管理職比率は過去最高ではあるものの、数字としては平均8.9%です。男女半々いる中では相当少ないと言わざるをえません。
目標を掲げるとともに真の原因を探る必要がある
日本が、本当に女性が働きやすくなる国になるためには、冒頭の認定制度のような目標を掲げ達成することも重要であるとは思います。
しかし、1985年に男女雇用機会均等法が制定されて以来、既に40年近く経っているのにこの現状ですから、単に目標だけを掲げて「とにかくなんとかしよう」では、なかなか実現することは難しいのではないかと思います。
女性が働きやすくない「真の原因」を探らないまま、目標を作ったり掛け声だけを整えたりするだけだと、「これだけやっているのに女性が社会進出しないのだから、それが日本女性の意志なのだ」などという誤った考えなども生まれかねません。
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