「出産・育児の仕事の両立の難しさ」が理由と言われている
「少子化社会白書」などの公の資料では、女性の社会進出が遅れている最大の理由は「出産や育児と仕事の両立の難しさ」だと言われています。
例えば、結婚や出産の予定のある女性が採用されにくかったり、育児休暇を取ると元の職位に戻れなかったり、正規雇用の労働時間の長いために育児中の女性は不安定な非正規雇用を選ばざるをえなかったり、ということです。
このために日本が女性の社会進出が遅れているというのは、確かになるほどと思う背景です。しかし、こんなことは何十年も前から言われていることですから、「それがわかっているのになぜ」という点がさらに本質的な問題ではないでしょうか。
結局、他人事になっていないか
ここからは私見ですが、このようなことになるのは、女性が働きやすい職場にするという課題が、多くの男性管理職にとって、本当はどうでもいい「他人事」になっているからではないでしょうか。
そうでなければ、原因も対策もある程度わかっているのに、なかなか問題が解決されないなどということにならないからです。人は他人事だと思えば、なおざりに対応するものです。
自分が女性であればこの問題を本気で考えますし、あるいは自分の配偶者が女性で、実際に苦労しているところを見ればなんとかしようと思うことでしょう。
しかし、そうではないからテキトーに対応してしまい、成果が出ないのではないかと思うのです。
「女性は腫れ物」というアンコンシャス・バイアス
相談者の方に悪意はないと思うのですが、言葉として女性を「腫れ物」と表現しています。「腫れ物」とは皮膚が腫れて膿んだもので、転じて「気難しい難儀な人」という意味です。
つまり、もしかすると、相談者を含めた多くの男性にとって「女性が働きやすい職場にする」という課題は「本当は必要性を感じないが、社会情勢上必要と言われているので、面倒くさいが対応する」、そして「女性は、非合理な要求をしてくる面倒くさい難儀な人」と無意識に思っている、最近流行りの言葉で言えばアンコンシャス・バイアスがあるのではないかということです。
そんな状態では、女性が働きやすい職場など作れるはずはありません。
自分の「女性が働くことへの偏見」を自覚する
どんな人でもアンコンシャス・バイアスはあります。
自分だけは「偏見などない」と思うこと自体が偏見を自覚し改善することを妨げます。そういう大勢の男性のアンコンシャス・バイアスが女性にとっての見えない壁になっているのです。
ですから、まず「男女平等は重々承知」「これまでかなり気を配ってきた」などと思わず、「もしかすると無意識のうちに女性を働きにくくする行動をしてないか」と振り返る姿勢が重要です。
そのためには、数少ない女性管理職にこれまで味わった苦労話を聞いたり、自分の日々のマネジメントについて職場の女性からダメ出しをもらったり(信頼関係が必要ですが)してみてはどうでしょうか。
そして、自分で無意識に行っていたダメな行動がわかれば、それを直していくことが、最初の第一歩なのではないかと私は考えます。