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2018.03.13

かぞく

全パパ必読!”更年期ママ”の身体に起こっている変化とは?


パパは家事も育児も一生懸命やっているつもり、ママにも最大限気を使っているつもりなのに、なぜかママがいつもイラっとしている。そんな夫婦間のギャップの原因を、ママ目線から解説するこの連載。ママがイラっとする原因のひとつとして、ママの困りごとや家庭のピンチに対する夫婦間の温度差というものがあげられます。今回テーマとしてあげるのは、女性の身体の変化。女性は40歳前後から、体が変化し始めるのだそうです。それにより、心が不安定になることも。そういった女性の身体の変化、パパたちはどこまで知っていますか?
「自己評価の高いパパ」と「いつも何かが不満なママ」を最初から読む

30代から始まることも……エイジングに向けての女性の変化

結婚しても働くことが当たり前になっている今、ご存知の通り、出産年齢が上がっています。働くママの場合、初産が30代半ばというのは珍しくないですし、40歳を過ぎてから出産するママもいますよね。つまり、出産後に女性ホルモンがぐんと下がり、産後うつと呼ばれる状態を経験したかと思うと、数年後には身体の変化を感じ始めるというママも。
37歳で出産し、その後すぐに仕事に復帰、現在41歳という会社員の美保子さん(仮名)は、最近更年期が始まっているんじゃないかと不安になっているとか……。
「出産した直後は、夫に対して何かとイライラする時期があり、これが産後うつというものか……と思ったのですが、その後仕事に復帰してからも、育児と仕事の両立の大変さもあり、そのイライラがずっと続いているような気がしています。特に、生理前の時期のイライラがひどくて。ひょっとして、これって更年期障害の始まりなのではないかと不安になりました」。
生理前に、イライラしたり、不眠になったり、頭痛が続いたりといった、体にさまざまな不調が起こることを「PMS」と言いますが、出産後にPMSの症状がひどくなったという声を聞くこともあります。そこで、それはなぜなのか、更年期障害の前兆なのかなどを、芍薬(しゃくやく)レディースクリニック恵比寿の院長・疋田(ひきだ)裕美先生に聞いてきました。
疋田先生は、西洋医学と東洋医学両方の観点から、女性特有の症状や悩みについて治療やカウンセリングを行っています。
「そもそも閉経の時期はかなり個人差があり、一般的には45〜55歳くらいといわれていますが、30代のうちに閉経する人もいます。また、閉経の数年前からいわゆる更年期症状と呼ばれる、さまざまな身体の不調を感じるようになりますが、どんな症状が出るか、またその程度も人によって違うんです。閉経の早い人の場合、30代後半からこういった症状を感じ始めても不思議ではないですね」(疋田先生 カッコ内以下同)。
よくわからないイライラが続いている場合、すでに更年期障害が始まっていると考えるべきでしょうか?
「イライラしたり憂鬱になったりしても、それが更年期障害とは一概には言い切れません。女性ホルモンは強いストレスを感じると出にくくなるんです。例えば、仕事で責任ある役職についてプレッシャーを感じているうえに、子育ても並行して頑張らなきゃいけない。さらに、体力も落ちてきて、今まで通りに物事を進められなくなるなど、強いストレスを感じることが増えるのがこの年齢のママたち。それによって女性ホルモンが不安定になることもあり、イライラしがちになる。加齢が原因と言い切れない難しさがあります」。
「また、こういった症状があっても生理が毎月来るなら、女性ホルモンは出ているということ。ただし生理は毎月来ていても、女性ホルモンの量が一定ではなくなる、つまり不安定になるということはあります。それが、イライラの原因になっていることもありますね」。
ちなみに女性ホルモンは、まず脳の脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が出て、それが卵巣を刺激し、卵巣からエストロゲンが出るという仕組み。そのため、脳が強いストレスを感じるとFSHが出にくくなり、女性ホルモンの量も不安定に。
また、卵巣機能が低下してくると、FSHが出てもエストロゲンが出にくくなるため、もっとエストロゲンを出そうとして脳から出るFSHの量が増えるのだそう。そのため、エストロゲン値は下がっていないけど、FSHの値が上がっている場合は、卵巣機能が低下しているといえるのだそうです。
 

ママが更年期障害を乗り切れるかは、パパの協力にかかっている

では、更年期かも……と身体の変化を感じた場合、どんな治療法、対処法があるのでしょうか?
「更年期かもしれないと受診された方でも、エストロゲン値を調べてみると、ホルモン補充療法までは必要ないケースも少なくないです。そういった場合には、エイジングに向けて体を整えて行きましょうと説明し、希望に応じて症状を緩和する漢方薬を処方することが多いですね。よくわからない不調や身体の変化を感じた場合には、まず婦人科を受診して相談してみるのがいいでしょう」。
また、東洋医学の考え方では、イライラすることで無月経になり、閉経を早めたり、更年期症状を強めたりすることがあると考えられているとか。
「イライラすると更年期の症状が強く出ることがあると考えられています。また、そういったイライラは周りの環境によっても変化するもの。つまり、旦那さんが今まで以上に妻に寄り添い、協力していくことが欠かせないでしょう」。
なお、更年期症状としては、イライラや憂鬱感を感じる以外にも、様々な症状があります。ホットフラッシュといって顔には汗をかくのに、足は冷えているとか、頭痛やめまい、吐き気、不眠、肌が乾燥する、髪の毛が細くコシやハリが無くなる、膣内が乾き性交痛を感じる、性欲を感じなくなるなどもあるそうです。
更年期障害とその後の閉経は、女性にとっては人生のなかでも特に大きな変化。不安を感じているママも多いことと思います。ママとしては、今後訪れるこういった身体の変化をパパが知っていてくれるだけでも心強いもの。これを夫婦で協力し合って乗り切れるかどうかで、その後の夫婦関係が変わってくるともいえるでしょう。
【識者プロフィール】
疋田裕美医師
芍薬レディースクリニック恵比寿院長。日本産科婦人科学会専門医。九州大学卒業後、九州大学病院、県立宮崎病院、板橋中央総合病院などを経て2017年4月にクリニックを開業。西洋医学をベースに漢方も取り入れた治療を行う。わかりやすい説明と親しみやすい人柄で幅広い世代の女性から支持されている。
http://shakuyaku-clinic.com/
取材・文=相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。

イラスト=佐野さくら
 
連載「『自己評価の高いパパ』と『いつも何かが不満なママ』」過去記事一覧
第1回 「自己評価の高いパパ」と「いつも何かに不満なママ」、すれ違いはなぜ起こる?
第2回 保育園の送りがある共働き家庭で、パパが朝やってはいけないこと
第3回 子供を夜9時に寝かせるための準備は、3時間前から始まっている
第4回 「料理するだけのパパ」にイラつくママ。大変なのはメニュー決めと買い出し
第5回 パパに子どもを預けたことがきっかけで離婚!?ママたちの隠れた不満とは
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