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2017.07.20

かぞく

子供を夜9時に寝かせるための準備は、3時間前から始まっている


家庭で男性が家事育児を担うのは、もはや常識とも言えるようになった昨今。しかし、「自分はこんなに家事育児を分担しているのに、奥さんになぜだかいつもイラっとされている」というパパの声がある一方で、ママからは「もう夫に期待するのはやめました」という声。そこで、この連載では、これまで私が多くのママたちから聞いた話を元に、テーマ別に事例を挙げて、ママがどんなときに、なぜパパにイラっとするのかを解説していきます。
「自己評価の高いパパ」と「いつも何かが不満なママ」を最初から読む

頑張って仕事を切り上げて帰ってきたのにママが不機嫌な理由

子供が保育園のうちは、ママが時短で働くなどして、お迎えはママが行くという家庭が多いと思います。そして、多くのママからは「できれば夜9時に寝かしつけたい」という声を聞きます。そのために、事前に夕食の準備をしたりして、分刻みで寝るまでのスケジュールを組んでいきます。
子供が保育園の場合、お迎えに行ってから寝かしつけるまでに、ママがやらなければならないのは、例えば以下のようなことがあげられます。
・手洗い、うがいをさせる
・保育園から持ち帰ってきた洗濯物をかばんから出させる
・ごはんが出来るまでつなぎとして、ちょっとしたおやつを与える
・ごはんが出来るのを待つ子供が飽きないように、DVDなどをつける
・食卓の上を片付ける
・お風呂掃除してお湯をはる
・子供にごはんを食べさせながら、自分も食べる
・もし食後に時間があれば、子供の「●●して遊びたい」といった要望に多少は応える
・お風呂に入るために、着替えなどを準備させる
・お風呂に入る(親子で一緒に入るケースも)
・パジャマを着させる
・子供の髪を乾かす
・自分の髪を乾かす
・自分の肌のお手入れ
・飲み物を飲ませる
・歯磨きをさせる
・自分も歯磨きをする
・寝室に行くように促す
・絵本を読んだり歌を歌うなど、寝る前の準備
・添い寝
自分自身も子供と一緒に寝るのか、子供が寝てから自分だけ起きて残った家事などをやるのかによって、寝かしつけまでにやらなければならない仕事は変わってきますが、私の周りのママから聞いた話ではこんな感じです。
1つひとつは大した仕事ではないですが、途中で子供がぐずったり嫌がったりする、何かをこぼすなど、予期せぬ出来事が起こるのは当たり前なので、スムーズには行きません。これを、お迎えに行ってからだいたい2時間半〜3時間でこなさなければならないので、7時にはごはん、7時半には食べ終えてお風呂など、計画的に進めていかなければなりません。
……で、問題はパパがどのタイミングで帰ってくるかです。9時に寝かしつけようと、せっかく計画的に進めてきたのに、パパが帰ってきたことによって、子供が興奮して寝室から出てきてパパと遊び始めてしまって困る、という話をよく聞きます。パパも、自分が帰ってきたときに、子供がまだ起きていて自分が帰ってきたことを喜んでくれたりすると、うれしくなって過剰にサービスしてしまうもの。
そこで、そういった事態を避けるために、メーカー勤務のEさんの家庭では、パパが帰宅する際、8時半から9時の間は帰ってこないようにという決まりを作っているそうです。
「寝かせる直前に夫が帰ってくると、息子が喜んで興奮してしまい、せっかく寝室に連れていったのに、リビングに戻ってきてしまうことがありました。そこで、帰宅が8時半を過ぎる場合には、9時過ぎまで外で時間をつぶしてきてもらうことにしているんです」
パパにとっては、かなり厳しいルールと思うかもしれませんが、3時間も前から計画的に進めてきたのに、ミッション完了の直前でパパが帰ってきたことによって、すべてが台無しになった時ほどがっかりすることはありません。ママたちも、パパに帰ってきてほしくないわけでは決してないのですが……。
「少しでも早く帰ろうと仕事を切り上げて帰ってきたのにママの機嫌が悪いのはなぜ?」と感じるパパの気持ちもよくわかりますが、「9時に寝かしつけ」が達成できなかったときのがっかり感を理解していただき、時間をずらすまでしなくても、寝かしつけに協力してもらえるとママの努力も報われると思います。

寝かしつけ後の家事は、パパとママのどちらが行う?

また、子供がまだ幼児の場合、「9時になったから寝なさい」で、ひとりで寝る子はそんなに多くないと思います。寝付くまで添い寝をするというパターンが多いのではないでしょうか。そういう場合は、たいてい一緒に寝落ちしますよね。
最近では、「寝かしつけて寝落ちしてから、夜中にまた起きるのは辛いし効率が悪いので、一緒に寝てしまって、朝早く起きて残った仕事や家事をやっています」というママが増えているようです。そうなると問題なのは、残った家事を誰が担当するかです。
食器洗いは、ママと子供で食べた分だけ洗い、洗濯物は洗濯機に入れて回しておいて、ママと子供は就寝。夜遅くに帰ってきたパパが干す、というのが最近多いパターンのように思います。しかし、ふたりの子供を持つ、メーカー勤務のパパ・Fさんからこんな話を聞きました。
「我が家は、洗濯物を干すのと食器洗いは余力があるほうがやるという、ゆるいルールにしています。でも、先日夜遅くに帰ったとき『洗濯物は明日の朝干せばいいや』とそのままにして寝て、翌朝干していたら妻が不機嫌に。干す時間まで決めていたわけじゃないんだから、いつ干してもいいじゃないかと僕は思ったのですが……。それなら、いつ誰が何をやるのかまで、きっちり決めてもらったほうが楽だなと思いました」
このケースでママが不機嫌になるのもわかります。だって、一晩洗濯物を洗濯機の中に放置すると、くさくなったりシワになったりしますからね。たぶん、洗濯が終わったらできるだけすぐに干したい、というのは多くの女性にとっては共通した考え方。でも、男性はそこまで気にならない。
だったらやはり、夫婦で話し合って、パパはいつ何をするのかをきっちり決めてしまうというのはどうでしょうか? ただし、ママの中には「パパも疲れているんだから、できるだけ家事は私ががんばろう」と思って、はっきりと「これをやって」と言わないママも多いようです。それなので、パパのほうから担当をきっちり決めようと声をかけてもらえると、ママもすんなり受け入れてくれると思います。
次回は「食事作り」について、ママのイラっとするポイントとその理由を解説します。
文/相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手がける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。
イラスト/さのさくら
 


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