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2017.07.06

かぞく

「自己評価の高いパパ」と「いつも何かに不満なママ」、すれ違いはなぜ起こる?

家庭で男性が家事育児を担うのは、もはや常識とも言えるようになった昨今。しかし、「自分はこんなに家事育児を分担しているのに、奥さんになぜだかいつもイラっとされている」というパパの声がある一方で、ママからは「もう夫に期待するのはやめました」という声。そこで、この連載では、これまで私が多くのママたちから聞いた話を元に、テーマ別に事例を挙げて、ママがどんな時に、なぜパパにイラっとするのかを解説していきます。

食事後の食器洗い、パパはどこまでやったらパーフェクト?

いかにも、やってやったぜ感、を出してるパパ。自己評価が高すぎるんじゃないですか?
ここ数年、周りの男性に話を聞くと「自分はけっこう家事・育児やってるよ」という声を本当によく聞くようになりました。昭和の時代のような「おーい、お茶」的なパパなど、絶滅危惧種状態ですよね。しかし、その一方でママたちは「ありがたいとは思うけど、中途半端に手を出されると逆に面倒」「毎回洗濯物の干し方を注意するのに疲れたので、もう全部自分でやればいいかな…って」といった諦めの声も。明らかに夫婦間の溝が深まっている様子。
世のパパたちは、ママの大変さを理解して、少しでも負担を軽くしようとしてくれているのだとは思います。それは私たちママも重々理解しています。……なのに、イラっとしてしまうんです。そんなとき、よく男性は「ただ機嫌が悪いだけでしょ」で片付けようとしますが、実は、きちんと筋の通った理由があるのです。
申し遅れましたが、現在、保育園年中の娘と40代後半の夫との3人暮らし、アラフォー編集者の相馬由子と申します。
出産以降、子育て系メディアの仕事が増え、日々リアルなママたちの声に接する中で感じた、家事育児における夫婦間の溝を埋めるべく、この連載では、家庭の中で毎日繰り広げられる家事育児の案件別に、ママがなぜその時にイラっとしているのか、大変おせっかいながら、その理由を、実例を挙げながら解説していきたいと思います。
なお、先に申し上げておきますが、私自身はどちらかというとズボラ。家事をやるかやらないかは「家族が生き延びていられる程度」というのが基準です(そのため掃除は後回し)。しかも、我が家では、かなりの負担を夫に強いていることを白状しておきます。
まず第1回では、多くの家庭でパパが担当することが多い、食事後の食器洗いについて。メーカー勤務で子供は8歳と4歳の男の子、30代後半のAさんの事例を見てみましょう。
「うちは夫が公務員で、他のお父さんと比べたら、けっこう早く帰ってくるので、その点では助かっています。毎日の食事は私が作って、食器洗いはだいたい夫がやってくれるのですが……。食器を食器棚に片付けたり、シンクを掃除してくれるところまではやってくれないので、結局最終的な台所の片付けは私がやらなければいけなくて。なんだかなぁ……と、その点がいつもモヤモヤしています」
これを聞くと、「食器を食器棚に戻すくらい翌朝やればいいじゃないか」と思われると思います。
しかし、なぜママがそこまで求めるのか、それには理由があります。食器を洗ってカゴの中に入れて終了としてしまった場合、そのまま翌朝を迎えると、朝起きてきたママは、朝食を作り始める前に、5〜10分ほど時間をロスするのです。
朝食を作り始める前に、食器を食器棚に戻す、布巾を洗う、シンクの中を掃除するなどの仕事が発生するからです。朝は少しでも時間をロスしたくないですよね。子供が小さければなおさらです。朝、台所に立った瞬間から、スムーズに朝食作りをスタートできる状態にしておきたい、というのがママの本音なのです。

食器洗いは、食器を洗うだけにあらず。台所全体に目を向けてほしい

では、ママたちが考える完璧な食器洗いとはどこまでなのか。食器を洗う以外に、想定される台所の片付けを下に挙げてみます。
・食器を拭いて、食器棚に戻す
・排水溝のゴミを取り除く
・シンクの中を洗う
・三角コーナーの生ゴミを捨てる
・三角コーナーを洗う
・シンクの周りに飛び散った水や汚れを拭き取る
・手拭き用、テーブル用、食器拭き用などの数種類の布巾を洗う
・時には布巾や食器を漂白する
ざっと挙げてもこんな感じ。けっこうたくさんやることありますよね。
私自身は、台所の片付けは料理よりも大変なのではないかと思っています。私のもっとも嫌いな家事が、食器洗いを含む台所の片付けです。
もうひとつ、こんな事例もありました。アパレル会社で時短勤務で働くBさんには、7歳と5歳の娘がいます。夫も同業者ですが、夫は深夜まで残業することが多いそうです。そのため、Bさんはほとんどの平日の夜は、いわゆるワンオペ育児。できれば台所の片付けだけでも、帰ってきた夫にやってほしいという切実な願いを持っています。
「でも、それを提案してみたら、あっさり却下されました。しかも、自分が夜中に帰ってきて食べた食器すらも、洗ってくれないんです」とのこと。私からすると、この話、涙無しには聞けませんでした。個人の感じ方には差があると思いますが、食事後の片付けって、本当に大変なんです。夜中まで残業しがちなパパの皆さん、仕事が忙しいのはわかりますし、中間管理職世代で色々とプレッシャーを感じたりしているのもわかりますが、せめて、自分が食べた食器だけは洗いましょう。
とは言っても、ママのほうも、そこまでは求めない人やむしろ台所の片付けは料理より好きという人もいました。当然ながら、人によって温度差があります。「俺はけっこうできてる」と自信を持っているパパも、時には「食器洗い、こんな感じでどうかな?」などと、軽く聞いてみるのも夫婦間の溝を埋めるひとつの方法かと思います。
次回は「朝出かけるまでの準備」について、ママのイラっとするポイントとその理由を解説します。
文/相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手がける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。
イラスト/さのさくら


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