家庭で男性が家事育児を担うのは、もはや常識とも言えるようになった昨今。しかし、「自分はこんなに家事育児を分担しているのに、奥さんになぜだかいつもイラっとされている」というパパの声がある一方で、ママからは「もう夫に期待するのはやめました」という声。そこで、この連載では、これまで私が多くのママたちから聞いた話を元に、テーマ別に事例を挙げて、ママがどんなときに、なぜパパにイラっとするのかを解説していきます。
「自己評価の高いパパ」と「いつも何かが不満なママ」を最初から読む 子どもとの留守番、お昼の準備を自分でできてこそ完璧な留守番
休日にママがひとりで出かける用事があって、パパと子供だけでお留守番というパターン、たまにありますよね。「再来週の土曜日、友達とランチに行きたんだけど……」などとママが言えば、最近のパパたちは「ぜんぜん心配いらないから行って来なよ」と言う人が、おそらく大多数なのではないかと。
しかし、「行って来なよ」と言ったそのあとに「でもお昼ごはんは作っていってね」と言うパパも、けっこう多いそうです。子供がまだ赤ちゃんで、離乳食を用意していくというのならまだわかります。その場合でも、パパの分まで作る必要は無いだろうと、私としては思ってしまうのですが、ごはんを作っていってほしいパパも多いよう。大人なんだから、自分の食事くらい、しかも土曜日のお昼の一食くらい、自分で何とかできるでしょうよ、と思ってしまうのですが……。
保険会社に勤務するIさんいわく、このことにイラっとしているママたち、周りに多いそうです。
「同僚のワーママ同士で、夫の愚痴を言い合うのを聞いていると、お留守番してもらうときにごはんを作って行くのが面倒、という話がよく出てきます。自由に出かけさせてくれるのはうれしいけど、出かける前に、自分自身の準備に加えて夫と子供の食事の準備をしなければならないため、出かけるまでが普段の休日より大変ってみんな言ってますね」
今どき、レンジで温めればすぐに食べられるレトルトや冷凍食品だってたくさんの種類があるし、ピザなどのデリバリーを注文するとか、お惣菜を買いに行くとか、自分で作らなくても食事を準備するための手段はいくらでもあります。
ママの手料理を食べたい気持ちはわかりますが、これだとママも出かけることが憂鬱になってしまいますよね。
帰宅後の夫の不機嫌な顔を見ていたら、出かける気が起こらなくなった
ひとりで出かけたいけど、出かける前後が大変という理由で、ここ数年、ひとりで出かけようという気持ちすらも起こらなくなったというのが、3人の子どもがいる専業主婦のJさん。
「まだ子どもがひとりだった頃は、私も週末にひとりで友人の家などに遊びに行くこともありました。でも、1日パパに任せて帰宅すると、明らかにパパは不機嫌。そんな不機嫌な夫に対応するほうが面倒ですし、その後、子供が2人、3人と増えたこともあって、ここ数年、ひとりで買い物に出かけるとか、学生時代の友達とランチに行くなどは、まったく無くなりました」
うーん、これではママがストレス解消するタイミングがまったく無いということですね。彼女は「夫も平日は仕事で疲れているから」と言いますが、家事や育児は24時間365日休みがないですからね。ちなみにこのJさんは、本当に性格の穏やかな方で、イラっとした様子などはまったく見せないタイプですが、私が「子どもが全員独立したら何をしたいですか?」と聞いたところ「家を離れたいかな……」と静かにひと言。夫ではなく、仲の良い友達と長期の旅行にでも行きたいと言っておられました。
イライラをわかりやすく顔に出すママよりも、まったくイライラを出さないママのほうが、最終的に取り返しのつかないこと、離婚にまで発展しかねません。最近は、夫が亡くなった後に、「せめて同じ墓には入りたく無い」という理由で、死後離婚を選ぶ妻たちが増えているとも聞きます。
そのほかにも、パパに子供を預けると、余計なおもちゃやお菓子を山ほど買いあたえてしまい、それが心配という声もあったりして、子供と留守番をするにしても、さまざまなところにママをイラっとさせる地雷があるわけでして……。
1日子供と過ごす時に気をつけたほうがいいことを、夫婦で事前に話し合うとか、いっそ「僕だとどうしても甘えさせちゃうから、何に気をつけたらいいかアドバイスもらえるかな?」などとママに聞いてみるのも、やる気と気遣いが見えていいかもしれません。
子育て中でも、夫婦それぞれで自分の時間を持ってリフレッシュするのは大事なこと。取り返しのつかないことにならないためにも、休日の時間をうまく使えるといいですね。
次回は「家の備品、日用品の補充」について、ママのイラっとするポイントとその理由を解説します。
文/相馬由子
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。子育てをテーマにした雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手がける。2017年より某育児・教育系ウェブメディアの編集長を務めている。再来年に娘の小学校入学を控え、学童に入れるのかが目下の悩み。
イラスト/佐野さくら