40代男子であれば、「寝るときもデニムで」とか「風呂も一緒に入って」というデニム猛者のエピソードを耳にしたことがあるはずだが、この目的はいずれも“育てる”ため。
しかしそこで重要なのは、「糊や色を落とす」というタイミングでしっかり「洗う」ということ。いたずらにデニムを洗わないのは間違いなのだ。それは前回の<理論編>でわかった。
いい色落ちのために「デニムを洗わない」は都市伝説か? <理論編>はコチラでは、実際洗うときに気をつけるべきことは? デニムの洗い方の極意を、店頭でウォッシュサービスも担当しているデンハムGINZA SIXスタッフ、吉澤 陸(よしざわ りく)さんに特別に教えてもらおう。
真似できない? いや、できる! デンハム流デニムウォッシュの極意
前回、生デニムにとっての始めての洗いとは、「神聖なる加工の儀式」と教わった。
ちなみにデンハムが行うウォッシュサービスは、デンハムで購入したデニムなら、始めてのウォッシュからその後の定期的なウォッシュまで、デニムを育てたい方針に合わせて洗ってもらえ、洗い方のアドバイスもしてくれる。デニムを持ち込めば洗うタイミングの見極めもしてくれるというから心強い。ただし、もちろん自分で洗うことも可能。ということで、吉澤さんに見せてもらったデンハムのデニムウォッシュは、家でのデニム洗いにも使えるポイントが満載だったのだ。
■デニムの洗濯、流れとポイント
2018-DENIME
1)専用のシンクにデニムが浸るぐらいの水を張る。家庭では、バスタブかキッチンのシンクで代用できる。
2)デニムを裏返してシンクの水に浸す、繊維一本一本に水を行き渡らせるような気持ちでなじませる。
3)水がしっかり染み込んだら、汚れが浮き出た水を一度流す。ここでは、余計な色落ちを防ぐためデニムを絞らないこと。
4)いよいよ石鹸で洗う。デニムが浸るギリギリまでシンクに水を溜めたら、石鹸を泡立たせる。デニム専用の石鹸があればベスト。なるべくナチュラル系が推奨。なお、漂白系の石鹸は色が落ちすぎるので要注意とのこと。
5)片足ずつを裏表、デニムの綾織りの方向に沿ってポケットの裏まで優しく撫で洗い。デニムをギュウギュウ押しすぎると色落ちが激しくなるので、表面を撫でるように皮脂や汚れを落とす。
6)デニムについた石鹸を流水で一度落とす。色落ちを防ぐためここでは水につけてすすがないこと。
7)柔軟剤に10分から15分浸す。柔軟剤は市販のものでもOKだが、デニム専用がベター。手で全体に柔軟剤を馴染ませる。
8)すすぎの作業。柔軟剤とさきほどの石鹸成分も残らないよう、溜めた水に何度も浸けながらしっかりとすすぎを。
9)絞り作業。水分が残るとインディゴが水滴とともに流れ出るのでしっかりと。しかしくれぐれも脱水機は使わないように。脱水槽にデニムが当たって余計な色落ちとダメージが加わり、希望の仕上がりにならない。絞りは2人がかりが理想。子供がいれば、片方を持ってもらって一緒に。とにかく一滴残さず絞りあげるつもりで。
10)最後に陰干し。家庭では、角ハンガーなどがあれば、なるべくデニムの中にも風が通るようにウエストを広く開けて干すこと。そしてデニムの縮みを防ぐため縦横にパンと張りながら干すべし。
生デニムのファーストウォッシュのタイミングは、「はく頻度などで人それぞれですが、はき込むと徐々に形やシワが確定して、うっすらとヒゲが認識できるようになります。インディゴが濃紺から少し青く明るくなってきたかな、という時点が目安ですね。デンハムのデニムであれば、お店で状態を確認して時期のアドバイスもさせて頂きますよ」と吉澤さん。
ここまで習った洗いの工程を見ても、デニムは愛情を注げば注ぐほど、いい状態ではき続けられるということがわかった。
今のあなたのデニムはどの状態? 洗うときは、しっかりと手間をかけて洗ってあげる。洗わないときは干す、あるいは、デニムリフレッシャーを使うなどして、さあ今日から、一段上のデニムライフを送ろうか!
【取材協力】
デンハム・ジャパン
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www.denhamjapan.jp
髙村将司=文 永禮 賢=写真