
我々オッサンは、ずーっと心のどこかで“シンプル至上主義”を唱えていて、「服の好みは?」なんて聞かれると思わず「シンプルなもの」なんて答えてしまう。
もちろんシンプルは王道でありひとつの正義だ。しかし、今やあれだけ聞いた「ノームコア」なんてどこ吹く風で、どこを見回しても、色、柄、デザインなど遊び心に溢れたものだらけではないか。
デニムにおいてもそれは同じ。付き合いも長くさんざん馴染んだ相棒だからこそ、シンプル第一主義で凝り固まった頭を解き放つ第一歩としても、踏み出しやすいはず。
というわけで、今デニムで実践したい「3つの遊び」の提案だ。
その1:「デザイン」で遊ぶ!
最も簡単な方法は、ちょっと個性的なデザインの効いたデニムアイテムを一点投入すること。個性派アイテムには難色を示すオッサン諸兄も、デニムだったら気ラクじゃない? しかも攻略法は至極簡単。デニム以外のアイテムをシンプルにすること。そう、僕らの好きなシンプルは、ここで使えばいい。パンチの効いた調味料は、シンプルな素材にこそ引き立つ。みたいにね。
例えば、ディテールの効いたデニムパンツで……
デニム5万5000円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086)、Tシャツ5500円/グッドウェア(スタンレーインターナショナル 03-3760-6088)、サンダル1万4800円/アイランド スリッパ―×アーバンリサーチ(アーバンリサーチ 神南店 03-6455-1971)ここでは、背面にクロス状の尾錠がついた個性あるこちら。シンプルな白Tにグッと映えるでしょ? Tシャツがゆったりしたシルエットなら、タックインしてみるのも今風な取り入れ方じゃないかな。ほら、結構簡単じゃない?
左上●タックインしてヒゲやポケット回りのディテールを押し出すとより表情豊かに。右上●よく見るとポケットに赤のステッチ。裾まで到達せずに膝位置で途切れたサイドシームも個性的。下●ここではデンハムの「CROSS BACK」を採用したが、オーセンティックな尾錠でも応用可能だ。はいたのはコレ!
ヴィンテージのオーバーオールをデザインソースにしたクロス状の尾錠がアイコンの「CROSS BACK」。キャロットシルエットでモダンさも追求。リアルな色落ち加工も秀逸な逸品だ。5万5000円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086) 例えば、和洋折衷なデニムジャケットで……
ジャケット9万円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086)、Tシャツ1万6000円/スリードッツ(スリードッツ青山店 03-6805-1704)、パンツ8000円/サニーレーベル(アーバンリサーチ サニーレーベル グランツリー武蔵小杉店 044-982-3131)アメリカンな刺繍ものやワッペンもの、武骨なハードダメージのものなども見かけることが多いデニムアウター。こちらのロングジャケットも、バックに大きく施された刺繍のインパクトは絶大。しかし一見半纏のような和デザインを取り入れたボタンレススタイル、生地の複雑な切り替えとカッティングで生み出された美シルエットは、オッサンにもしっくりハマる。
パンツは引き締め効果絶大のブラックの細身がおすすめ。インナーにはヌケ感を生む白Tくらいがちょうどいい。他のアイテムをシャープにまとめれば、これくらいパンチが効いたアイテムでも、スマートに遊べてしまうのだ。
羽織ったのはコレ!
オランダのカルチャーユニット、アトリエリザーブとデンハムのコラボアイテムは、着物にインスパイアされた、その名も「キモノジャケット」。イタリア「カンディアーニ」社製のライトオンスデニムを使用し着心地は意外に軽やか。背面の刺繍と腕のラインが織りなす和洋折衷なデザインは、日本人の“デニム遊び”にこそ持ってこいなのだ。9万円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086) その2:「はきこなし」で遊ぶ!
例えば、ロールアップで……
デニムパンツ4万6000円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086)、Tシャツ7000円/トニータイズサン(タイズサン 03-6447-1655)、スニーカー1万1000円/ヴァンズ ヴォルト(ブルーウッド バイ ハンドイントゥリーPR 03-3796-0996)、サングラス3700円/ダン シェイディーズ(ビジュアライズイメージ 03-6273-2686)通称「鬼ロール」。OC世代なら懐かしく思う人も少なくないはず。しかしこれが今、にわかに再ブームの予感なのだ。きっかけはロエベのクリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンが2015年シーズンにおこなった約20cmの大胆ロールアップ。今年のパリコレ会場でもこの着こなしが徐々に増えてきており、まさに流行の半歩先的行くはきこなし。
昔よりもクールにはくポイントは、スリムフィットのシルエットをチョイスすること。するとご覧のとおりの上品なキマりっぷり。20cm程度をしっかりと折り返し、くるぶしを見せるくらいのレングスに合わせるべし! 足元の軽快さも加わって、一石二鳥の遊び方になるはずだ。
はいたのはコレ!
日本製デニム生地を使用し岡山で加工。やや厚手の15オンス生地は表情も豊かで、折り返し甲斐もあるセルビッジタイプのスリムフィット「RAZOR VISS」。4万6000円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086)
その3:「サイズ」で遊ぶ!
例えば、オーバーサイズで……
デニム3万円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086)、シャツ2万5000円/インディビジュアライズドシャツ×アーバンリサーチ ドアーズ、Tシャツ5500円/チャンピオン×アーバンリサーチ ドアーズ(ともにアーバンリサーチ ドアーズ マルイ吉祥寺店 0422-24-9889)、サンダル2万円/スイコック(オージー 03-6659-6962)、ベルト1800円/US ミリタリー×アーバンリサーチ(アーバンリサーチ 神南店 03-6455-1971)最後は、かなり冒険心がいるかもしれないが、サイズでの遊び方。今までのデニムライフで培ってきた自分なりの“ベストサイズ”を一旦忘れて、ビッグシルエットを思いっきり遊んでしまおうというわけだ。ここで選んだサイズは36インチ。
モデルの大石学さんが普段はくのが32インチというから、なんと4インチアップ。それをベルトでクーッと締めて、ロールアップすれば、夏にぴったりのゆるっとした新鮮なシルエットが堪能できる。これは、試してみる価値アリ!
左●サイドから見るとこんな感じ。B-BOY風になっていないポイントはテーパードしたシルエットで、これでサイズが大きくてもキレイにまとまるのだ。右●ご覧のとおり、ガチャベルトなどサイズ無用のタイプで、ぐいっと締め上げよう。タック入りのパンツのようで、それもまた新鮮。はいたのはコレ!
リラックスフィットの「FORGE」から、36インチをチョイス。ゆるやかにテーパードしているため、大胆にサイズアップしても美しいシルエットに仕上がる。3万円/デンハム(デンハム・ジャパン 03-3496-1086) 遊びのあるアイテム、はきこなし、サイズ。ちょっとしたコツと一歩踏み出す勇気で、長い付き合いであるデニムの新たな遊び方に開眼するとしたら、試さないなんて、ソンじゃない?
【撮影協力】デンハム・ジャパン03-3496-1086www.denhamjapan.jp鈴木泰之=写真 川田真梨子=スタイリング 馬場拓也=ヘアメイク 髙村将司=文