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2018.08.05

ファッション

間違いのない選びとこなしを「6人のデニム侍」に学ぼう<後編>


より高みを目指したいデニム道で、ときに迷えるオッサン(子)羊となる我々の道標となってくれる6人の達人を「デニム侍」と命名。
彼らの“間違いのない”選びとこなしを学ぶ本企画。今回は前編に引き続き、新たに3人の強者をパパラッチ! いざ、見てゆかん。
 

4人目のデニム侍
ご機嫌 代表 今井洋一さん

「デニムをルーズに。そしてさりげに飾る」

かつて勤めていたファッション系PRオフィスから独立し、現在は地方自治体をはじめ、さまざまなブランディングやイベントプランニングをメインに活躍中の今井さん。もちろんファッションの世界で培った卓越したセンスは健在だ。
「昔は仕事絡みで選ぶ服にも制限がありましたが、今は肩肘張らずに着たいものを手に取っています。デニムはもちろんいつもはいてますよ。今はワンサイズに上げてルーズな感じに着こなすのが気分。ちょっと太ったからでもあるんですが(笑)」。
デニム/リー、シャツ/ザラ、スニーカー/アディダス、ハット/古着、サングラス/オークリー、ベルト/ヘミングス、ブレスレットとアンクレット/ともにナインシックスティ、キーリング/ジャム ホーム メイド ※すべて私物
「暑いからなんです」と、照れながら語ってくれたロールアップした裾については、ボリュームのあるハイテクスニーカーと合わせて巧妙なサイズバランスに。
「デニムはどうしてもルーズに見えるので、少し飾るように気をつけています。総柄シャツを選んだり、ベルトを垂らしたり、アクセを絡めたりね」。
よく見ると、アイテム選びのセンスも適度にヌケ感と遊び心が感じられる。
ベルトループに付けた安全ピン風のキーリングも、デニム姿を飾るアクセントに。
ロールアップの裾とハイテクスニーカーの隙間も、ネオンカラーのコードがポップなアンクレットで飾るのが、今井流。
「どうあがいてもオッサンなので清潔感は大事。シャツの第1ボタンを留めたり、ハットを被ったり、細かなことが大切なんです」。
ネイビーのメッシュハットはデニム姿に清潔感をプラス。
肩肘張らない適度なリラックス感の中に、ちょっとした計算をチラつかせ、僕らの狙いたい「キメてないのに、キマってる」を実現する今井さんから教わることは多い。
 

5人目のデニム侍
ボールドマン PRディレクター 宮本哲明さん

「デニムはシンプル&ミニマルが◎」

長身に端正なルックスの宮本さんが実践するのはシンプルな着こなし。なんでも、手持ちの服を整理中とのことだそうで。
「最近は、自分にとって本当に必要と感じ、末長く付き合っていきたいと思う洋服だけを選んでいます。着用していくうちに自分らしい味を出せるデニムは、まさにそんなアイテムのひとつ」。
デニム/デンハム、Tシャツ/ユナイテッドアスレ、キャップとサスペンダー/ともに古着、サンダル/ハワイアナス ※すべて私物
そんな折に出合ったのが、アメリカにおいて独自の文化で暮らす集団「アーミッシュ」の服装だ。
「電気を用いず、自給自足の生活を送るスパルタンな人たちなので、服装も極めてシンプル。彼らの作業着は本当に機能的なんです。基本的にノーベルトでサスペンダーというのが彼らのスタイル。今はそれにハマってます」。
宮本さんが愛用するデニムはデンハムの「トーキョー」モデル。キャロットシルエットの生デニムだ。
「アーミッシュな雰囲気により近づけるためサスペンダー着用&インチアップして楽しんでいます。それでもシルエットがキレイで崩れないから助かるんですよね」。
オーバーサイズのTシャツを、タックイン&サスペンダーという方法で着ると案外すっきり清潔に。すぐに取り入れられそうなテクニックだ。
濃色のデニムに合わせたオリーブグリーンのセンスが秀逸。シンプル&ミニマルをセンス良く実践している。全身無地では味けなく見えがちだが、小物使いで見事に回避。そして、さらなる季節感の演出は足元のビーサンだ。
愛用のハワイアナスは黒をチョイス。夏の足元には欠かせない相棒だという。
「夏のデニムはどうしても、見ためにも体感的にも暑いので、足元とスタイルを涼しげにしてくれるサンダルは外せません。愛用しているのはハワイアナス。履きつぶしては買い足しての繰り返し。それくらい夏のデニムスタイルにフィットしてくれるんですよね」。
色数を増やさぬようにオリーブで合わせたニットキャップ。
小物はサスペンダーにニットキャップのみ。ミニマル&洒落たデニム姿を実践している宮本さん。服を知り、服を愛する達人が辿り着いた境地。案外簡単に取り入れられそうなのも、ありがたい。
 

6人目のデニム侍
スタイリスト 石黒亮一さん

「黒デニムには“白少々”を。これが最良のスパイス」

最後の侍は、人気スタイリストの石黒亮一さん。彼の大好物カラーはブラックだ。
今回も、愛用の黒デニムを軸に、黒使いのテクニックを披露してもらった。
デニム/マイン デニム、Tシャツ/ジェームス パース、中に着たTシャツ/ヘルムート ラング、スニーカー/ナイキ、サングラス/ノーブランド、ブレスレット/イデアリズムサウンド ※すべて私物
「黒はとにかく使える色。黒アイテム同士なら、手に取った服がどんなものでも瞬時にまとまりますからね」。
なるほど、毎日忙しく撮影にリース、打ち合わせと、ともすると自分のコーデがおろそかになりそうな中、スタイリッシュであることも仕事のうちというスタイリストらしい“時短テク”だ。
「黒の中でも、とりわけ黒デニムはとても有効なアイテムです。色落ちで素材の表情が出やすいデニムはコーディネイトの程良いアクセントになりますから」。
ふと気になった。インディゴデニムははかないのだろうか。
「もちろん持っているし、はくこともあります。でも、スタイリストの世界に入って30年近くこのスタイルだから、自分としてもしっくりこない。黒は自然体でいられるんです」。
スニーカーは、ナイキのブレーザー。スウッシュとソールが白。
「とはいえ夏だと真っ黒は暑いでしょ。だから、大切なのは随所に白を入れること。少しでも軽く見えるようにしてます」と、石黒さんのソウルカラーともいえる黒を、夏に軽快に着る小ワザを紹介してくれた。
「あとこれもちょっとしたテクニックなんですが、スニーカーに白を入れて足元が明るくなると、“レフ板的効果”でコーデ全体を明るく見せてくれますよ」。
「白Tシャツの重ね着も、軽快さを出してくれるから。だけではないんです。実は2枚重ねすることでお腹の肉感が出にくくなる。“プニプニ”が気になり始めた同志にはオススメです(笑)」。
仕上げはアクセサリーだ。マットなメタルチャーム付きのブレスと、夏の日射しを避けるサングラス。無理なく夏に黒を着る術を、やっぱり黒の達人は持っていた。
ドメスティックのアクセサリーブランド、イデアリズムサウンドと石黒さんのコラボモデルだそう。
イタリア土産で奥様用に購入したはずのサングラスとのことだが、いつしか石黒さん専用に。「似合うサングラス選びって難しいからさ。掛けたら気に入っちゃって(笑)」と愛用中。

あらゆるスタイルにフィットしてくれるデニム。今回紹介した6人の“デニム侍”たちも、それぞれまったく違う“デニム道”に合わせたマイ・ベスト・デニムを楽しんでいた。
つまり、今自分が進みたいデニム道をしっかり意識することがすべての第一歩。6人の侍をヒントにしても良し、ショップを見るも良し。
恩田拓治=写真 髙村将司=文

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