「SEAWARD TRIP」とは……▶︎すべての写真を見る 海辺の生物をテーマに活動する自然写真家の岡田裕介さん。
2009年にはナショナル ジオグラフィック 国際写真コンテストで奨励賞を受賞した岡田さんが、フォークランド諸島のペンギンについて語ってくれた。
はるか遠く離れた地で野生のペンギンは暮らす
よちよちと歩く姿に大人も子供もほっこり。ペンギンは水族館や動物園での人気者だ。だが日本に野生のペンギンは生息しない。
生息域は南極、南米のアルゼンチンやチリ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど。遠路はるばるやってきてくれているのである。
では、どれほど“遠路はるばる”なのか。偶然ながら、そのことをアルゼンチンへの取材旅行で実感したことがある。世界遺産に登録されるバルデス半島に近いプンタ・トンボへ足を延ばしたときのことだ。
そこには南米最大といわれるマゼランペンギンのコロニーがあり、多くのペンギンが日常生活を送っていたのである。
そしてその“楽園”へ行くためには、まず東京を起点に10時間超のフライトに2回乗り、ブエノスアイレスへ。そこからプンタ・トンボまで1500km。当時はブエノスアイレスの空港でレンタカーを借り、同国最大のビーチリゾート、マル・デル・プラタを経由してアクセスしたこともあって、およそ3日間の移動時間が必要となった。
まさに“地球の裏側まで”なのだ。とにかく遠いのである。しかしだからこそ、野生のペンギンたちが悠々と自由に暮らせる環境があるのだろう。
目の前に広がる光景を見て、彼らの生活圏にお邪魔するように恐縮しながら足を踏み入れている自分がいて、そのような実感を抱いた。
だが、さらに遠くの地にまで足を運んでペンギンの日常を撮影し、写真集『Penguin Being—今日もペンギンー』にまとめたのが自然写真家の岡田裕介さんだ。
岡田さんが向かったのはフォークランド諸島。アルゼンチン南部のパタゴニアの沖合にあるイギリス領の島々である。
2/4