渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
▶︎すべての写真を見る 中目黒の目黒銀座商店街にあるヴィンテージショップ
「ジャンティーク」の店主である内田斉さん。彼は、世界中から自分の“好き”を集める凄腕トレジャーハンターなのだ。
渡辺 ウッチーくん(内田さんの愛称)、久しぶりですね。ここに来ると、いつも長居しちゃうんだよなあ。
内田 まあ、今日も時間が許す限り、ゆっくり見ていってよ(笑)。
渡辺 店頭の古いボタンやハンガー、ラジオやマグカップと、いきなりテンションが上がる。奥には見たことがないくらいレアな古着も置いてある。誰かにとってはジャンクでも、見る人が見ればアンティーク。まさしく「ジャンティーク」。
内田 原宿の古着店「サンタモニカ」で18年、今この店で19年目。ずっと同じ業界にいるけれど、やっぱり飽きない。ここには自分が好きなものだけを置いているから、やっていて楽しくないわけがないんだ。
渡辺 昔から言っていましたね。「服でも車でも家でもいい。好きなモノを売りたい」って。今ではそういうセレクトショップも少なくないけれど、20年言い続けて実現しているからすごい。
生活にまつわる幅広いアイテムセレクトが圧巻で、モノとしてそれぞれのパワーが強烈。海外からの友人を連れてくるたびに、みんなホクホクで帰っていく。スタイリストやファッションデザイナーがネタを探しに来たりもしている。
内田 そうだね。おかげさまで、自分が選ぶモノに共感を持ってくれる方が多いようで、これからも変わらずやることをやっていくだけです。
渡辺 長く続ける秘訣は?
内田 パッションがないとダメだね。
渡辺 今のブームとか、最近熱中していることってありますか?
内田 きっかけは特に思い当たらないけれど、クライミングとかアウトドアのアイテムが気になる。色や素材の使い方もそうだし、コードなどのディテールにも妙に刺激される。
寝袋を買って、ダウンを着て、コッペパンみたいな形の登山靴を探して。で、店頭に並べておくと、僕より詳しいお客さんがアイテムの詳細を教えてくれる。そうしたコミュニケーションも、この仕事の醍醐味だね。
渡辺 群馬県にも店がありますよね。
内田 うん。週1で顔を出しているよ。群馬県の高崎市が地元で、昔住んでいたところの近所なんだ。コロナ禍以降はECサイトも始めたけれど、それぞれでやりがいや求められているものが違って面白い。
渡辺 3つの店を見て、それぞれ違う色にするって、並大抵のパッションではできない。この店だけでも情報量がすさまじいのに。
——取材後、再び店内へ戻る渡辺。楽しい宝探しに終わりはない。