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ひざ程度の浅さでも流れが速ければ流される

2. 川には流れがあることを意識する

川には流れがあるので、プールなど流れのない場所とは別の対策が必要だ。「浅瀬なら大丈夫」という情報があるが、ひざ程度の浅さでも流れが速ければ流される。大人のひざ程度の浅さでも1秒間に2メートル程度の流れがある場合、片足に約15キロ(両足では向きにより約30キロ)の力が水平方向にかかる。だから、ぬげやすいビーチサンダルではなく、できるだけ滑りにくい運動靴やスポーツサンダル(かかとが固定できて脱げないようもの)を履く。

大人は子どもよりも下流にいることを忘れずに。大人が子どもより上流側にいると、流されたときに救助が間に合わないし、追いつこうとしてあわてて飛び込むと2次災害が発生しやすい。

もしも自分が流されたら(ライフジャケットを着用していることを前提として)、速い流れのある場所では、浅くて足がつきそうでも、立たずに浮く。または泳ぐ。流れに逆らって泳ぐとリスクが増すので、元の場所に無理に戻ろうとせず、下流側の流れの緩やかな場所へ避難する。

「『川では泳いではいけない』という情報がありますが、強い流れを回避する場合は泳ぐ必要があります。ライフジャケットを着用した状態であれば、リスクを軽減しながら泳ぐことを推奨すべきです」(菅原さん)

川遊びに必要な「3つの情報をチェック」

事前や遊んでいる最中にも情報の確認は欠かせない。

①遊びに行く川の特徴をチェック:前述の水難事故マップで過去の河川等水難事故発生地点を確認する。事故が多発している箇所は地形や川の構造、利用状況等に特徴がある。また、河川構造物があったら近寄らないこと、飛び込まないことを確認する。

②天気予報をチェック:遊びに行く川の天気を知る。遊ぶポイントが晴れでも、上流で雨が降れば、その水が下流にやってきて増水する。雷雨など急な気象変化について、自分が遊んでいる場所とその上流を常にチェックする。

③水位情報をチェック:川の防災情報では、全国の河川の水位などがわかる。水量が多ければ流れも強くなるから注意が必要だ。

菅原さんは、「子どもたちは川と触れ合ことで、さまざまなことを学ぶことができます。決して意のままにならない自然や生物と向き合うことで創造力が養われます。そのためにも川や水の特徴やリスクを知り、事前の準備と安全管理をすることが重要です」と語る。

夏休みは始まったばかり。「水辺の安全ハンドブック」(2023年版)を家族で確認して、水のレジャーを楽しんでほしい。


橋本淳司=文

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