「Camp Gear Note」とは…… キャンプの食事を簡単においしく仕上げたいなら、ホットサンドメーカーはおすすめしたい選択肢のひとつ。
お好みの食材をパンに挟んで焚き火やバーナーで焼くだけで、なんでもおいしく仕上げてくれる魔法のような道具だ。
今回はそんな手軽さが人気のホットサンドメーカーの中でも、キャンパー仲間と差をつけるギアとして注目を集めている「こだわりのホットサンドメーカー」について紹介したい。
【写真13点】Made in USAのホットサンドメーカー「トースタイト」の写真をチェック お馴染みのホットサンドメーカーはブラジルがルーツ
ホットサンドの代名詞的存在「バウルー」のルーツはブラジルにあり。
現在、皆さんが見慣れている四角いホットサンドメーカーのルーツは、実はブラジルにあることはご存知だろうか。
もともとはサンパウロで使われていたパン焼き器を、1970年代にお土産として日本に持ち帰ったのがきっかけとなり、それがのちに製品化されたと言われる。
そして、日本の食パンのサイズや調理環境に合わせて、今の形へとブラッシュアップされていったというのだ。
日本では「ホットサンド」だが、アメリカでは「グリルドサンド」。
一方、キャンプの本場、アメリカに目を移してみよう。
日本にホットサンドメーカーが持ち込まれるより前から、アメリカでもホットサンドは「グリルドサンド」などの名称で親しまれていた。しかも、’40年代にはアメリカ製のグリルドサンドメーカーも存在していたのだ。
Made in USAのホットサンドメーカー「トースタイト」
現在はネット通販などで購入可能(実勢価格は5000円前後)。パッケージもアメリカンで良い感じ。
その製品名は「トースタイト(Toas-Tite)」。1949年から8年間だけ、イリノイ州でキャンプファイヤー料理用に販売されていた調理道具である。
一旦はブランドが消滅してしまったが、2011年に当時と同じ仕様で復刻され、現在はアメリカを中心に再販されている。
珍しい丸型フォルムが印象的。
見た目は、武骨でいかにもアメリカンな印象。
鉄板部分は熱伝導率の高いずっしりとしたアルミ製で、どこか愛らしさもある丸型が採用されている。表面に刻まれた「PROUDLY MADE IN THE USA」という文字が誇らしげだ。
ユーザーから集めたというレシピ付き。
付属の商品説明書やレシピも非常にクラシカルで、アメリカ好きには堪らない雰囲気を醸し出しているのもポイントが高い。
では早速、その使い心地を試してみよう。
挟んで焼くだけなのに、美味い!
基本的な使い方は、いつものホットサンドメーカーと同じ。
違いは表面にフッ素コーティングがされていないので、バターやオイルを薄く塗ってから使うことくらいだ。使い込んで油が馴染んでくれば、その必要もなくなるだろう。
チーズを敷いたり、マヨネーズを塗っておくと、パンに水分が染みすぎない。
具材を欲張って端まで入れると、焼いているときに溢れてきて焦げる原因となってしまうので控えめに。
食材をセットして挟むと、パンの四角はある程度勝手にカットされる。はみ出した部分が焦げやすいので、きれいに整えてから焼き始めよう。
余分なはみ出しをカット。手でもきれいに千切れた。
あとは両面に美味しそうな焼き目がつくまで、じっくりと焼いていく。ガスでも焚き火でも、焦って強火で焼こうとしないのがコツだ。
具材はおかず系からデザート系まで、なにを挟んでもOK。せっかくなので、今回は市販のミートソースとチェダーチーズという、手軽だけどいかにもアメリカンな組み合わせをチョイスしてみた。
焼き目のつき方がかわいらしい。
熱々のチーズで火傷しないように気をつけつつ、出来立てを頬張ってみる。簡単にできたのに、やっぱりうまい!
ほかのホットサンドメーカーと比べた仕上がりの特徴は、耳の部分のカリカリ具合。クリスピーな耳の部分の食感は、トースタイトならではのおいしさだと感じた。
外はカリカリ、中はトロトロ。火傷にご注意を。
あとは、この丸い形がとにかく可愛らしい。キャンプのテーブルを楽しく引き立ててくれそうだ。
便利さだけじゃない、道具としての魅力
便利さ云々の前に、まず道具として可愛らしい。
一般的な四角いホットサンドメーカーのほうが、パンの端まで余すところなく使えたり、フッ素加工がしてあって焦げ付きづらかったりと、なにかと便利な点も多い。
しかし、そんなデメリットはどうでもいいくらい、「トースタイト」は道具として所有する愛おしさ、魅力がある。焚き火で使い込んでアルミの表面に味が出てきたら、と想像するだけで楽しくなる。
キャンプ道具は遊び道具。便利さだけじゃなく、ときにはそんな曖昧な基準で選んだっていいのだ。