▶︎すべての写真を見る The NEXT Kicks●沸点超えのブームがひと段落して、地に足が着いたトレンドが見え始めたスニーカー業界。果たして2023年はどうなるのか? シーンのキーマンたちの声から探る次なる足元事情。
昨今のスニーカーブームを牽引してきた「アトモス」。その代表である本明秀文さんは、スニーカーフリークにとってのカリスマだ。
そんな本明さんの目に、2022年のスニーカー市場はどう映っていたのか? 2023年の動向とあわせて、総ざらいしていただいた。
話を聞いたのは……
アトモス代表・本明秀文さん 本明秀文●1968年生まれ。香川県出身。商社勤務を経て1996年にスニーカーショップ「チャプター」をオープンし、1997年に「テクストトレーディングカンパニー」設立。2000年に「アトモス」を初出店して以降、現在まで国内外に店舗を増やし、世界的なスニーカーショップへと成長。2021年にはアメリカの「フットロッカー」に約400億円で売却したことも話題となった。Twitter:@Shoelife2012
ナイキとニューバランスが依然強し!
――2022年はアトモスにとってどんな年でしたか? 本明 コロナ禍も3年目になり、世の中が慣れてきたというか、世界的にもひと段落みたいなムードも後押しして、それまでストップしていたサプライチェーンの問題が解消されたのは大きかったと思います。
オーダーしてた商品がワーっと発売されたことで単純に売るものたくさんできたから、僕らの商売として非常に良かった年だと言えるんじゃないですかね。
――その中で、目立ってヒットしたアイテムはなんでしょう?
本明 全体的には相変わらず、
ナイキの売上が主でしたね。「エア フォース 1」「ダンク」「エア ジョーダン」。そういったものは引き続き売れていました。
2022年に40周年を迎え、さまざまな記念アイテムが発売されたエア フォース 1。
エア ジョーダンやダンクも好調の売れ行きだった。
2021年までにはなかったものだと、アディダスの「アディマティック」ですかね。
アディマティックは、1996年にリリースされたスケートボード用シューズ。2022年は復刻が話題に。(詳細はこちら!)
本明 一方で、オーシャンズ世代のような大人には、オンやホカ、サロモンのようなテクノロジーと履き心地に優れたスニーカーを買っていく人が増えた印象です。
――いわゆる、ガチのランニングシューズですよね。 本明 そういったものを“ファッションとして履ける靴”として置いているスニーカーショップはアトモスだけだと思ってるんです。
例えばホカの「ボンダイ」のオールブラック。あれって2万5000円くらいするんですけど、男性だけでなく女性にも売れたのはちょっとびっくりしましたね。今までパンプスやヒールを履いてた30〜40代くらいの女性にも、スニーカーが浸透してきているなと感じています。
――本明さんも今日ホカを履かれてますね。
本明 僕は最近、ホカしか履いてないですね。毎日10〜15kmくらい歩くんですけど、ヒザの古傷が痛むこともあって、クッショニングの良いやつじゃないとダメなんです。
本明さんの足元はもっぱらホカ。この日はアッパーにゴアテックスを搭載した「BONDI L GTX」を履いていた。
――30〜40代の男性には、どんなものが人気でしたか? 本明 やっぱり
ニューバランス。あとは先ほどの
オンや
ホカもそうですね。オンなんかはロジャー・フェデラーが株主として入っていたりしてイメージも良いから、落ち着いた大人の男性に刺さってるんじゃないかな。
今ウォール街で、チノパンにパタゴニアのベスト着て足元はオンっていう人を見たら、金融関係って一発でわかりますね。
2/3