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2022.11.29

ライフ

バドミントン元日本代表の潮田玲子の言葉「競技も夫婦も、パートナーは自分の鏡」

潮田玲子

当記事は「The Wordway」の提供記事です。元記事はこちら(第1回第2回第3回)。 

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今回のアチーバーは、バドミントン元日本代表の潮田玲子さんです。

潮田さんは2008年の北京オリンピック女子ダブルスに小椋久美子さんとのペアで出場し、ベスト8に進出。コンビ解散後はミックスダブルスに挑戦し、2012年ロンドン五輪にも出場を果たしました。07年世界選手権では「オグシオペア」で銅メダルを獲得するなど業界をけん引。バドミントンを人気競技へと押し上げました。

2012年の現役引退後は、スポーツコメンテーターとして活躍する一方、絵本のプロデュースや女性アスリートをサポートする一般社団法人Woman's waysを設立するなど、新たなフィールドでも挑戦を続けています。引退から10年。重圧と戦い続けた現役時代を振り返りながら、壁を越えていく原動力を語りました。

言葉①「一番だめなのは、失敗をそのままにすること。失敗したことから逃げてしまうこと」


Q:引退から10年、絵本のプロデュースや、女性アスリートを支援するWoman’s waysを立ち上げるなど、「セカンドキャリア」でも常に挑戦し続けているように感じます。

そうですね。これがメインというのは言いにくいところではあるんですが、いろんなことに取り組んでいる中で、結局自分の競技生活や経験に基づいて、ようやく全部が一本につながってきたなと実感しています。

Q:「ようやく」というのは、引退直後は悩みもあったのですか?

アスリートは成果として完全に答えが出ます。試合に勝つか、負けるかというシンプルな中で、負けたらまた練習して、それに対して目標に向かって努力して、またそこで答え合わせをする。それを幼少期から繰り返していたので、セカンドキャリアに移った時に、一番得意とする世界を離れて、どうやって生きていけばいいんだろうという不安はありましたね。





Q:メダルが期待された北京五輪はベスト8に終わり、長くペアを組んだ小椋さんとのペアも解散。北京オリンピックの結果は、潮田さんのキャリアにどのような影響を与えましたか?

北京が終わって、自分の気持ちも4年後に向けて「もう1回、1から頑張ろう」という気持ちにはなってなかったし、パートナーも「違う選択をしたい」というところもあったので、急に「あ、解散が決まった」となって。

もし、そこで自分たちの目標のメダルが取れて「オリンピック楽しかった」と思えていたら、また違った捉え方ができたのかもしれませんが、やっぱり一番目標としてる場所で、自分の中では失敗として終わったので、いろんな迷いが生まれたのかなと思います。



Q:北京オリンピックで味わった喪失感から再び歩み出すまで、何かきっかけはあったのですか?

女子ダブルスのラストマッチとして、最後に全日本総合選手権っていう大会に、北京オリンピックの3カ月後に出たんですけど、そこで結果的に5連覇目を達成することができたんです。最後の最後に本当に最高のパフォーマンスができたことで、「まだ選手として自分でもやれることがあるのかもしれない」という道筋が見つかったと言うか。

その時に最初で最後のゾーンを体験したんですよ。最後数本の中で、相手がスローモーションに見えたり、そこに空間ができたように見えたり。そういった体験をしたことで、「もう1回これを味わいたい」っていう気持ちが生まれたんです。



Q:重圧との向き合い方について、潮田さん流のアドバイスはありますか?

成功するか失敗するかはやってみないとわからない。もちろん失敗したくないし、これは絶対に成功させなきゃいけないっていう気持ちはあるんですけど、私が大事にしているのは「万が一失敗したとしても、そこからまたそれをプラスに変えればいいじゃん」ってことですね。

一番やっちゃいけないのは、失敗をそのままにしてしまうことだと思うんですよ。失敗して、それで逃げてしまうみたいな。自分が次のステージに進むのは恐怖でしかないですし、なかなか踏み出せないと思うんですけど、いつも思うのは、そうやって北京オリンピックで一番大きな挫折を感じたし、あの時はコートに立つことさえも怖かったんですけど、そこから逃げずにコートに立ったことによって、最後の最後にいいパフォーマンスができましたし、またその次の4年に繋げることができたので。

やっぱり失敗をした事をそのままにしないっていうのは大事かもしれないですね。万が一失敗しても、またそれを時間がかかっても取り戻すように努力するっていうことの繰り返しなのかなと思いますね。


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