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FACEさん所有、シュプリームのアートコラボ集

先述したように、FACEさんのシュプリームコレクションはアート関連のアイテムが多い。例えばこちら。




「5年ほど前に購入したマイク・ケリーとのコラボものです。他にも、スウェットやTシャツも持っています。フロントやバックへ大胆に落とし込んだアプローチはシュプリームらしいですし、彼への敬意も感じられますね」。

アメリカ出身の現代芸術家、マイク・ケリーに捧げたこのコレクション。大胆にあしらったのは、1991年にソニックユースが発表したアルバム『Ahh…Youth』のジャケットデザインであり、彼の代表作でもある。




「正直、ソニックユースはあまり聴いたことはありません。でも、これを見たら食指を伸ばさずにはいられませんでした。

攻めたデザインだな〜とは思いましたが、これぞシュプリーム。周りに合わせるアイテムは白の無地Tだったり、ダークトーンのボトムスだったり、落ち着いたアイテムを選ぶようにはしています」。

そして、こちらはまたちょっと変わった異色作だ。




「これはネイト・ロウマンというNYのアーティストとのカプセルコレクションの一品。従来のアート業界の常識を打ち破ったと言われる才能で、2000年代初頭に新たな潮流も生みました。このひとつひとつのデザインは銃痕をモチーフにしていて、僕の周りの仲のいい友人もみんな買っていましたね」。

こちらのパーカは、フロントサイドこそシンプルに作られているが、背後に目を移せば大胆なグラフィックデザインが落とし込まれている。



「これはサンチートとのカプセルコレクションですね。若いアーティストで、今かなり注目されています。バイク用に購入しました。重宝していますが、リュックを背負うと後ろのデザインが隠れてしまうので、単なる派手アウターを着ている人になっちゃいますけど(笑)」。

シュプリームを通して知るアートの魅力

FACEさんのアーティストコラボコレクションはまだまだ尽きない。



「これはダニエル・ジョンストンのカプセルコレクションですね。2019年にこの世を去るまで、世界中に熱狂的なファンを持ち、多くの人から天才と賞賛されたイラストレーターです。カート・コバーンが着ていた、目が飛び出ているカエルのグラフィックデザインも彼の作品です」。

さらにこちらは日本の写真家、森山大道のカプセルコレクション。森山大道といえば、ピントを合わせた鮮明で美しい写真こそ是とする写真界へのアンチテーゼ的な作品を世に送り出し、その固定概念を打ち破った巨匠として知られる。




「これは最近もっとも心が揺れ動いたアイテムですね。単純に雰囲気が好きで購入しました。やっぱりシュプリームの魅力って、こういうところなんでしょうね。

僕の知らない魅力的なアーティストを教えてくれたり、こういうやり方もありなんだという、ある種のアートの可能性を見せてくれる。今も昔もいろいろ学ぶべきところがあります」。



「ダミアン・ハーストしかり、ジェフ・クーンズしかり、他にも、今をときめくアーティストとの共作は挙げればキリがありません。ダミアン・ハーストのスケートデッキなんて、おそらく今だったら100万円はくだらないでしょう。シュプリームから注目のアーティストを知るケースも少なくありません」。

シュプリームとアートの深い関係について語るFACEさん。その表情は実に楽しげである。シュプリームを入り口にアートを知れば、ファッションもさらに面白くなるに違いない。

恩田拓治=写真 菊地亮=取材・文

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