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2022.08.25

からだ

普通の道で「つまづく」は脳卒中の予兆かも。原因を即解明すべき理由



知らないと怖いカラダのサインとは……

ちょっとした段差や平坦な道でつまづく。そんなことが増えてきたのは、もうイイ歳だから。本当にそうだろうか。

「運動不足と捉えてランニングに励むのは、もしかすると勇み足になってしまうかもしれません」ーー。
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なにやらただの不注意では済まなそうなつまづきの理由を、有栖川整形外科院長の陣 彦善先生に教えてもらった。


話を聞いたのはこの人!陣 彦善●有栖川整形外科院長。腰痛、肩こり、膝痛などの整形外科疾患における保存的療法と予防医学の研究・実践に取り組む医師。著書に「医師が教える! 1分免疫エクササイズ」(世界文化社)がある。

陣 彦善●有栖川整形外科院長。腰痛、肩こり、膝痛などの整形外科疾患における保存的療法と予防医学の研究・実践に取り組む医師。著書に「医師が教える! 1分免疫エクササイズ」(世界文化社)がある。


脳や神経の異変は、まずは歩行にあらわれる

©︎photocheaper/iStock

©︎photocheaper/iStock


――つまづきやすくなったのは、てっきり年のせいかと思っていたのですが。

高齢の方や極度に運動不足の方であれば、足の筋力が低下しているせいかもしれません。けれど適度な運動や通勤習慣があるならば、一度はなにか違う理由を疑ってみるのがいいでしょう。

 ――ズバリ、どんな病気が考えられますか?

脳や神経の病気、骨の病気は、つまづきや足のもつれを引き起こすことがあります。例えば転びそうになる回数が突然増え、それに頭痛や吐き気、めまいなども伴う場合には脳卒中の可能性があります。

 ――脳卒中のサインは足にも表れるんですね。

脳は手足の動きと密接に関係しています。また体のバランスを維持するはたらきをするので、歩行にもなんらかの影響が出ることが多いんです。

あと年々リスクが高まってくるものとして、パーキンソン病も疑ってみるべき病気です。

 ――パーキンソン病は難病にも指定されている病気ですよね?

パーキンソン病は神経難病の一つとされており、その中でももっとも患者さんが多い病気です。パーキンソン病とは、手足に指令をだす神経伝達物質の「ドーパミン」を十分に作れず、手足の動きを思うように調節できなくなる病気です。

初期では片側の手足になんらかの異常が出始め、自分の意思とは無関係に、歩く速度が遅くなる、歩幅がせまくなるなど、歩きづらさを感じるようになります。

安静にしているときにも手や足に細かな震えが生じることがあるので、そのような際はぜひ医師に診てもらうのがよいでしょう。

40代こそ心得ておくべき、腰痛のキホン



――骨の病気とはどんなものでしょうか?

オーシャンズ世代にもっとも注意をしてほしいのが、「腰椎椎間板ヘルニア」です。すでに腰痛持ちの方は、正しい治療を受けないままだとこのような病気に進行し、歩行に影響が表れることがあります。

――ヘルニアは、高齢者がかかる病気だと思っていたのですが。

実は高齢者よりも、体を活発に動かす20代から40代にかけての比較的若い男性に多い病気なんです。椎間板とは外側は硬く、内部はゼリー状の柔らかい構造になっていて、骨と骨をつなぐクッションの役目をしています。

その椎間板に何らかの原因でヒビが入り、椎間板内のゼリー状の組織が飛び出して神経を圧迫するのが、腰椎椎間板ヘルニアです。

 ――椎間板のヒビって、そんなに簡単に入るんですね。

椎間板は20代、筋肉や軟骨は30代と、とても早い段階から衰え始めることが分かっています。骨同士をつなぐクッションである椎間板は、体重や地面からのショックを吸収する役目もありますので、重いものの持ち運びやスポーツなども椎間板への刺激となります。

――ちなみに“ぎっくり腰”とは、また違うものなんでしょうか?

いわゆるギックリ腰は、医学的には「急性腰痛症」と呼ばれます。レントゲンやMRIをとっても骨に異常が見られないことが多く、実ははっきりした原因も分かっていません。

急に肉離れが起こったかのような、激しい痛みに襲われるのが特徴ですね。腰椎椎間板ヘルニアとは、症状や痛みのあらわれ方が違います。
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お尻や腰にしびれを感じるなら、すぐさま病院へ



――腰椎椎間板ヘルニアの要注意な症状とは、どういったものでしょうか?

腰椎椎間板ヘルニアの痛みとして、腰を丸めると痛みが増して、反らすと痛みが落ち着いてくるケースが多いです。そして腰にある神経を圧迫して起こる病気なので、痛みだけでなく、お尻から太ももあたりにしびれが出てきたら、かなり可能性が高いでしょう。

 ――放っておくと、どうなりますか?
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痛みやしびれが進行すると、足首や足の指に力が入らず、脱力したような状態になります。これが、何もないところでつまづく、といった症状につながることがあります。

また、足の親指を上に反らせるような、今まで当たり前にできていた動きができなくなった場合には手術が必要です。そして、尿や便が出にくくなる「膀胱直腸障害」という、新たな病気まで引き起こす危険性もあります。

 ――さらなる病気まで引き起こすとは……自分でできる応急処置はありますか?

痛みからしびれ、そして脱力の状態になってしまうと緊急性がとても高く、一刻も早い診断と治療が必要です。腰の痛みが2週間経っても取れない場合や、しびれを感じるようになった際には、すぐさま病院へ行くようにしてください。

腰痛があるなら、いまの筋トレ方法も見直すべき



――腰痛のたびにマッサージに行っていましたが、それだけではダメなんですね。

腰痛椎間板ヘルニアを発症している場合だと、椎間板にさらなる刺激をあたえてしまい、余計に悪化するおそれがあります。そうでなかったとしても、マッサージは腰回りの筋肉をほぐして血行を良くしてくれるだけなので、あくまで一時的な対処にしかなりません。

また自分の体に合っていない間違ったウェイトトレーニングやランニングなども、腰の状態を悪化させる原因になります。

 ――運動すれば良いわけではないんですね。

腰回りの筋肉を正しく強化することは、腰痛の予防につながります。けれど運動するたびに腰が痛くなるという場合は、フォームが間違っていたり、オーバートレーニングになっている可能性があります。

骨や筋肉、体の状態は一人ひとり違っているので、自分の体に合ったフォームや運動量をきちんと知っておくことが重要です。

 ――筋肉をつけること自体は、腰痛にとって良いことなんですね。

そのとおりです。骨の老化にはなかなか抗えないものですが、だからこそ周りにある筋肉を使ってフォローし、全身を支えられる強い体を作ることが大切です。

タンパク質にあわせて、きのこ類や魚介類に含まれるビタミンD、大豆や緑黄色野菜に含まれるビタミンEなどを一緒に摂ると、なお効果的です。

 ◇

今の段階で何かしらの“つまづき”があるならば、それは年を追うごとにさらに増えていくだろう。今のうちから正しい身体づくりをはじめよう。

長瀬瑠美奈=取材・文

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