知らないと怖いカラダのサインとは…… 4人に1人ががんで命を落としている日本でいま、まさしく急増しているのが大腸がんだという。
「問題視されている大腸がんですが、本来は“とある検査”をすれば、防ぐことも完治させることもできるんです」――よもや他人事ではない大腸がんとの向き合い方を、消化器内科医の谷口将太郎先生が教えてくれた。
話を聞いたのはこの人! 谷口将太郎先生●新宿内視鏡クリニック院長。月間400例以上の検査実績に対し、無痛率99.4%を達成する大腸内視鏡検査(大腸カメラ)のスペシャリスト。テレビや新聞をはじめとする、メディア出演歴も多数。
「大腸がん」は、避けては通れない現代病
――大腸がんは、誰もがなりうる病気ですか? 年をとるほどかかるリスクが高まり、40代から特に注意が必要となる病気です。患者さんの数も年々増えていて、実際に
大腸がんで亡くなられる方の数は、この20年間で1.5倍にまで増えています。
――1.5倍も! なぜいま、大腸がんは増えているのでしょうか? 喫煙や肥満といった生活習慣が原因とされていて、なかでも
食生活の欧米化が大きな理由と考えられています。
むかしと比べて肉などの動物性脂質を多く摂るようになり、またハムやソーセージなどの加工食品も当たり前に食べるようになりましたよね。そんな生活が、大腸へ悪影響を及ぼしているんです。
――食事の質がカギになる病気なんですね。 大腸は便を作り、作られた便が滞留する場所でもあるので、
良いうんちを作るモトになる食事がとても重要になります。そのため大腸の異変は、まずは便に表れることが多いんです。
見逃してはいけない、排便時に宿るサイン
――便に表れるサインとは、どういったものでしょうか? これまで快便だった方が、「
急に便が細くなった」「
残便感を感じる」「
便秘と下痢を繰り返すようになった」など、年をとるにつれて排便が変わったように感じる場合は注意が必要です。
その際には、大腸がなにかしらの異変を起こしているサインと考えてよいでしょう。
――「血便」も大腸がんのサインなのでしょうか? 血便も大腸がんにおける1つのサインです。ただその場合は、便のふちに少し血が付いている程度の、自分では気付かないほどの微量な出血であることが多いんです。
実際に診察をしなければ確かなことは言えませんが、もしトイレの水が赤く染まるような出血量であれば、「痔」をはじめとした大腸がん以外の理由や病気も考えられます。
――うんち以外にも、体に起こる異変はありますか? 「
普段と同じ生活をしているのに急に体重が落ちた」「
立ちくらみがある」、また「
周期的に起こる腹痛」も大腸がんの症状です。
ただし、がんは大腸の内側にある粘膜部分にできるため、まだ早期の小さなうちだと痛みを感じにくいんです。そのため痛みが出ているときには、がんがだいぶ大きくなり、かなり進行している可能性があります。
“とある検査”が、大腸がんの死亡率を7割減らす
©︎Tharakorn/iStock
――大腸がんを見つけるためには、どんな検査があるのでしょうか? 検査には大きく2種類あり、1つは「
便潜血検査」です。これは目には見えないような極微量な血液を発見できる、大腸がんの可能性を知るうえでとても簡単な検査です。
その反面で精度が低く、大腸がんの4割ほどを見逃してしまうといわれています。
――見逃しがあるのは怖いです……。もっと正確な検査もありますか? もっともお勧めしたいのは2つ目の「
大腸内視鏡検査」です。大腸の内部を直に見て、大腸内での異変を確認することができます。
一生に1度受けるだけで、大腸がんで死亡する確率を7割も減らせるといわれています。
――7割も!とはいえ、内視鏡検査は、苦しくてツライという印象です……。 いまは内視鏡検査の技術も進歩しています。方法次第では痛みや不快感も、ほぼ感じることなく受けられるようにもなりました。早期の大腸がんではほとんどの方に自覚症状はないため、内視鏡検査をしないと見つけることができません。手遅れになる前に発見することが重要です。
――症状がなくとも、いま受けておくべきでしょうか? ご家族で大腸がんの方がいらっしゃる場合はもちろんですが、オーシャンズ世代で一度も受けたことがない方も、ぜひこの機に受けてほしい検査です。しかも内視鏡検査をすることは、大腸がんの発見と治療だけでなく、予防にもなるんですよ。
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