電気自動車にすることで、旧車は進化する!?
テスター等と、中古車のリーフから取り出したバッテリー。
さらに延命している間に技術が進化すれば、衝突被害軽減ブレーキなどの先進機能も備えられるという。
「モーターの制御はエンジンより安全機能や自動運転と相性がいいんです。進歩も著しい。だから、もしかしたら3年後に僕のビートルも、スイッチを押せば自動で駐車してくれる機能が付いているかもしれない(笑)」。
ところで古い車となると駆動系以外のパーツ、例えばインテリア周りとかライト周りの小さな部品なども欠品して、修理が難しい場合もある。
そうなるといくら電気自動車として延命しようとしても、難しいのでは?
「確かに国産車は車の販売が終了すると10年で部品の生産も終了しますが、輸入車の場合は結構長い間パーツが生産されているケースが多いですからね」。
そういえば以前
フィアット500の改造電気自動車を取材した際も、500のパーツは今もイタリアで手に入ると言っていた。
クラシックミニもパーツが豊富で、電気自動車にするには向いているそう。
また日本車でもランクルなんかは、北米でたくさん販売されていたから、海外からもパーツを手に入れることができるそうだ。
「今、ランクルの40を改造していますが、ない部品はアメリカから手に入れています。それに、今は3Dプリンターがありますから、小さなパーツなら自分たちで再生することもできますよ」。
この先3Dプリンターも進化するだろう。そうすればさらにメーカーに頼らず再生できるパーツが増えても不思議ではない。
オズモーターズが使う3Dプリンター。
200万円から、電動化できる世界に
パーツも手に入るし、なにより愛車の機嫌を気にしながらもう乗らなくて済む。となればあと気になるのは改造費用だが……。
「オーダーメイドが基本で、だいたい500万円から。ウチでは車検に通るのはもちろん、普段乗りできるクラシックカーとしてきちんと整備しますからだいたいこれくらいが目安です。
今のところ電池増量や個別のカスタマイズなどで1000万円以上かけて改造する人が多いですね。工期は半年から1年はくださいと言っています」。
残念(!?)ながら、現状はまだまだ改造電気自動車にするにはお金がかかる。ただ、希望がないわけではない。
「今、モーターやバッテリーなど主要部品をキット化しようとしているんです。バッテリーと工賃別でだいたい200万円以下にしたいと思っています」。
クラシックミニ用の電動化キットの試作品。これが量産化されれば、コストはグッと低くなる。
キット化することでコストが抑えられるだけではない。改造や整備方法も一般化して全国の整備工場で扱えるようになれば、どこに住んでいても気軽に電気自動車化できる世の中になるという。
まずは今ある愛車をそれまで頑張って乗り、電気羊の夢ならぬ電気自動車の夢を見て待とう!
[取材協力]オズモーターズwww.o-z.co.jp