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2022.07.18

ファッション

ビームスでも愛され続ける「パタゴニア」。現ディレクターの私物をチェック!



「業界のパタゴニアン・パパラッチ」とは……

これまで、数多くのアメリカブランドを国内に紹介してきたビームス。

なかにはブランド自体が消滅したり、泣く泣くリストから外されたものも少なくないが、変わらずセレクトされ続けているのがパタゴニアだ。
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ビームスのクリエイティブディレクター・中田慎介さんのワードローブにもパタゴニアは欠かせない。今回紹介してもらったのは、10年来の付き合いというウエストバッグだ。

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中田慎介●メンズカジュアルのディレクターを担当。自社アイテムの企画・製作にとどまらず、他社とのコラボレーションや別注、さらにはブランドのプロデュースなども手掛けるビームスきってのご意見番。高校時代からパタゴニアを愛用し、所有するバギーズパンツは何日もローテーションできるほど。

中田慎介●クリエイティブディレクター。自社アイテムの企画・製作にとどまらず、他社とのコラボレーションや別注、さらにはブランドのプロデュースなども手掛けるビームスきってのご意見番。高校時代からパタゴニアを愛用し、所有するバギーズは何日もローテーションできるほど。


憧れの先輩たちが身に着けていたパタゴニア

パタゴニアとの付き合いは高校時代にまでさかのぼる。

当時はまだ通販は充実しておらず、手に入れるならば並行輸入の店へ足を運ぶか、古着で探すかが関の山。ただ、中田さんの場合は、そんな正攻法とは一線を画す手立てを用いた。

その背後には、MADE IN USAへの憧れもチラリとのぞく。



「友人と海外通販のカタログを取り寄せ、メールオーダーをしたのがパタゴニアのシンチラ スナップT。ヘザーグレー×フォレストグリーンの配色だったと思います。いまだに忘れられませんね」。

さすがビームスのディレクター、高校時代からレベルが違う。同時に、目白にあるパタゴニアストアへも頻繁に足を運んだという。以降、ドレッサーの中にはいつでもパタゴニアのアイテムがあった。

「当時5、6万を出して買った、『ナイトロ2』というマウンテンパーカがあるんですよ。僕の中では名作なんですけど、あまり知られていないかもしれませんね。周りはたいてい、スーパーアルパインジャケットやストームジャケットに手を伸ばしてましたから。まあ、当時から捻くれていたんですよね(笑)」。

そして、大学も卒業に近づく頃、ビームスと運命の出合いを果たし、視点や考え方は一変する。ビームスには、周囲とは異なったアプローチでファッションを楽しむ先輩方が多かったからだ。



「ビームスの人が着用しているカラーなら間違いない、といった風潮はありましたよね。ウィメンズカラーを着ている男性スタッフもいましたし、やっぱり普通の人とちょっと違う。

いるじゃないですか、『なんですか、それ?』っていちいち着ている物や持っている物が気になる人。誰もがヘインズの白Tを着ているときに、グッドウェアを着ているみたいな。それが当時、なんだかカッコ良く見えたんですよ」。

もはやそれはビームスのアイデンティティでもある。

「そんな人たちに憧れる人生を送ってきちゃったんで、何か会話のヒントになったり、仕掛けがあったり、そんな人に憧れるんですよ。そして、彼らは総じてパタゴニアを着てましたね」。
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大事なのは容量よりもライフスタイルとの親和性

諸先輩方の薫陶を受け、中田さんも多くのパタゴニアを所有してきたが、今も肌身離さず持ち歩いているのがこのバッグ。すでに3代目にあたるという。



「パタゴニアはバッグがたくさんあって、定番をずっとアップデートしてるイメージですね。このウエストバッグもそうで、ベースモデルはだいぶ前にリリースされ、そこにパッカブル機能が加わりました。この手のタイプを使い出してかれこれ10年以上になりますね」。

昔から出歩く際に物は持ち歩かない主義。ただ、手元にないと落ち着かない物もあり、それらがすっぽり収まるサイズ感なのだという。その頻度たるや、もはや体の一部といってもいいほどだ。
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「単純に僕の生活にすごくリンクするサイズなんですよ。今はスマホが財布代わりみたいなものだし、AirPodsとフリスクも絶対に持ち歩きます。この3点セットがうまく収まるので、普段は打ち合わせに行くのにも、ランチへ出るのにもこれは必ず持ち歩きますね」。

さらに、ギミック好きを触発したパッカブル機能が、他のシチュエーションでも威力を発揮するという。




「出張などで海外へ行く際には、旅行カバンにこいつを潜ませて、現地でも外出する際によく使っています。サコッシュも考えましたが、やはりどうしても心許ない。紐を切られた終わりですからね。泥棒防止にも打ってつけなんです」。

パーマネントなモノの凄さと美しさ

そんなパタゴニアの魅力を、中田さんは2つのキーワードを挙げて語る。



「言ってみれば“パイオニア”。ジーンズだったらリーバイス、スウェットシャツだったらチャンピオン、アウトドアならパタゴニア。しかも、パタゴニアのアイテムって、アップデートはすれど、ずっと変わらない“パーマネント”なものじゃないですか。変わらないのに、時代を問わずそのプロダクトとしての美しさがどの世代からも許容される。これは本当にすごいことですよ」。

自らファッションアイテムをディレクションする立場だからこそ、その凄みが実感できるのだろう。



「アウトドアって、ハイテクを追求するものじゃないですか。ただ、やっぱり僕はビームス プラスで育ったので、クラシックアウトドアが僕のアイデンティティになっているんですよね。古き佳きモノの精神が染み付いていて、変わらない良いものにすごい憧れがある。

だから靴も、ハイテクは好きですけど、結果クラシックなものをずっと履いています。ヴァンズやコンバースなんて毎年買い替えてますから。だからこそ、パタゴニアに惹かれるんでしょうね」。

そのアイテムを着こなすうえでも、ちょっとしたこだわりがのぞく。



「アークテリクスのアパレルにパタゴニアを合わせるみたいなことはまずしないですね。だから、割とオーセンティックな服を着る時にパタゴニアを取り入れます。また、ちょっとした抜け感を加えるときにもいいですね。なので、今日はセットアップスーツ風の上下にパタゴニア。そこに程よく抜け感をプラスするイメージでこいつを合わせました」。


もしも『中田の100アイテム』なる企画や本を出すとしたら?

そんな問いに、「このウエストバッグは絶対に入るアイテムですね」と即答。一度使ってみれば、きっと誰しも納得できるだろう。今夏、外出のお供として選択肢のひとつに加えてみては?

伊藤恵一=写真 菊地 亮=取材・文

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