事実がわかれば経営者は別の判断ができる
ダメな経営者の中には悪い報告を持ってくる人を罰するような、いわゆる「使者を斬る」人もいるでしょうが、ちゃんとした経営者であれば「できない」という報告自体を怒ることはないでしょう。
なぜなら、経営者が欲しいのは「正確な事実」だからです。
もし、現在の業務と働き方改革の両立が物理的にどう工夫しても難しい、限界があるということが事実であり、正確にどの程度難しいのかを示してくれれば、経営者はまた別の判断が可能になります。
今は事業の成長期だから、働き方改革のペースを緩めようと思うかもしれませんし、まだ人員を増やす予算の余裕はあるので、採用数を増やそうと思うかもしれません。
無理をすれば結局会社のためにはならない
それなのに、自分では会社のためになっていると思って、無理をして見た目上の働き方改革を実現してしまうと、それは経営者に誤った事実認識を与えることになってしまいます。
「今の人員でも業績目標と働き方改革は両立可能だ」と判断してそれを徹底推進した結果、会社のあちこちで地雷が爆発して、結局事業も組織もボロボロになってしまったとしたら、「できないのにできる」と言った人たちに怒りを感じることでしょう(もちろん、率直な悪い報告をしにくい経営者のほうにも問題は大いにありますが)。
どこまで考えて無理なら「できない」と言って良いのかというタイミングはとても難しいですが、「できない」と経営者に示す選択肢もあるのだということを、管理職は常に頭の中に置いておくべきではないかと思います。