「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは……
本日の相談者:45歳、IT関連企業コロナ禍の対応で、会社が全面的にリモートワークに移行。管理職としてメンバーの仕事に支障が出ないよう、業務の棚卸しや情報共有プロセスの再構築、定例MTGのアジェンダ設定の見直しなどを実施してきたが、最近メンバーから立て続けに突然「退職します」と言われて驚いています。メンバーの声に耳を傾けていたつもりですが、何がダメだったのでしょうか?
| アドバイスしてくれるのは…… そわっち(曽和利光さん) 1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。 |
そんなに簡単に批判などしてくれない
日本人は一般に、「批判的なことを直接的に言われることが大嫌い」だと言われています。ですので、逆に「相手に批判的なことを直接的に言うことも大嫌い」です。
つまり日本人同士の間では、相手に気を遣いながら、やんわりと曖昧な表現で批判することはあっても、かんかんがくがくと率直な議論を繰り広げることは難しいのです。
メンバーから突然やめたいと言われたとき、マネジャーは「いやいやいや、何があったの?嫌なことがあれば、先にもっとはっきりと言ってくれればよかったのに」と思うことでしょう。
私もそんな経験はあります。しかし、多くの人たちはそんな簡単に上司批判はしてくれないのです。
批判をする「義理」がなくなっていく
ただでさえ批判することが嫌いな日本人にとって、会社や職場や上司を批判するのはとても負荷のかかることです。
あえてそんな負荷のかかることをするのは、その対象に対して「義理」や「恩」「愛」「忠誠心」などの精神的なつながりを感じているケースです。
しかし、批判的になるということは、その対象が自分にとって何か悪いものであると感じていることでしょうから、精神的なつながりは減滅していく可能性が高い。そして精神的つながりが減滅していけば、批判をしてあげる「義理」もどんどんなくなって、結局、不満なのに何も言わないままになるというわけです。
「聞く」のではなく「見る」しかない
不満を持っていても、きちんと批判をしなければ、対象は改善されることはなかなかありません。そうするとさらに不満は募り、いつしか限界を超えていく。そうして「突然辞める」という現象が起こるのではないでしょうか。
ご相談いただいた方は管理職として「メンバーの声に耳を傾けていた」とのことですが、声に出してくれないものはどれだけ耳を傾けても聞くことはできません。
ならばどうすればよいか。声に出してくれないのであれば、「聞く」のではなくて、メンバーがやっていることを「見る」しかないのではないかと思います。人は思っていることを口にしないでも、さまざまな非言語メッセージを送ってしまうもの。
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