幻の“元祖・エア ジョーダン 1”が登場
スニーカーを愛する人たちの熱意は、一般的感覚では推し量れない部分がある。
それゆえにいわゆる“うるさ型”の人も結構いるのだが、この一足を前にすれば、誰もケチをつけることはあるまい。
「エア ジョーダン 1のオリジナルが発売される以前に、マイケル・ジョーダンのために作られたのがこちらです。正真正銘の元祖というわけです」。
まさに極レア。バスケの神様が実際にコートを駆け抜けた一足である。
「コートでプレーしやすいようにと、マイケル・ジョーダンの意向が存分に落とし込まれています。
足の自由な動きを意識してのことでしょう。ハイカットよりもやや控えめなミッドカットになっているのが特徴的です。エア ジョーダン 1は本来、ミッドカットなんですよ」。
一般販売されたオリジナルモデルと見比べてみよう。
左がジョーダン専用で右が一般販売用。
「インナーの色も異なります。一般の人用ではなく、マイケル・ジョーダンのために作られたものでかなり貴重だと思います。今では、ジョーダン自身も持っているかどうか怪しいところですからね」。
それも、ジョーダンの人柄ゆえだと鎌本さんは話す。
「ジョーダンは現役当時、練習を見にきていたお客さんに、サービスで自分の履いているシューズをプレゼントしていたらしいんですよ。それで意外と、オリジナルのエア ジョーダン 1を持っている人が多いっていう(笑)。
あとは顔馴染みの会場のセキュリティの人たちにあげる、なんてこともあったようです。そういうのが巡り巡って、スニーカーショップに流れ着いているんですよね」。
よくもまぁこんな一足を、と驚くばかりだが、実際、’80年代後半から’90年代にかけては、スニーカー専門のバイヤーが、現地で仕入れたレアスニーカーをかなり日本に持ち込んだらしい。
しかも、当時はまだ今ほど興味を持つ人も少なかった。
そして面白いのは、この貴重な一足を所有する当の本人が、オリジナルも復刻も等しく愛していることだ。
「エア ジョーダン 1が最初に復刻したとき、僕はまだ学生でオリジナルをリアルタイムで知っているわけでもはないですから。ああだこうだ言うことはなかったですね。復刻も全然ワルくないじゃんと思っていました(笑)。
むしろ、若い頃の僕は同じエア ジョーダン 1より、エア ジョーダン 9の方に惹かれました。
バスケに明け暮れた高校時代、ジョーダンと同じものを履けば彼みたいなプレーができるんじゃないかっていう憧れがあったんですよね」。
なるほど、そういうことか。
マニア垂涎の一足を間近でみられた幸運に感謝しつつ、次回からは、鎌本さんのマニアックなスニーカークロニクルを紹介していきたい。
幻のエア ジョーダン 1を動画でもチェック!
今回訪れたのは……
「スニーカーショップ スキット東京・吉祥寺店」
色褪せない大定番から名作、さらには珍品まで多彩なスニーカーが揃う。中には国内未発表の貴重なモデルも。また、買い取りも随時行っている。
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-18−1 D-ASSET吉祥寺 1F
電話番号:0422-47-6671
営業:11:00〜19:00
Instagram:sneaker_skit