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自分たちだけがやるのではなく周囲を巻き込んで取り組む

[左]天然ゴムのアウトソールを装着し、優れた走破性を発揮する「ウールダッシャー ミズル」。1万7500円 [右]「トレイルランナー SWT」はオールバーズ初のトレイルランニングシューズ。足なじみが良く耐久性と通気性に優れ、高いグリップ力を備える。1万7000円

[左]天然ゴムのアウトソールを装着し、優れた走破性を発揮する「ウールダッシャー ミズル」。1万7500円 [右]「トレイルランナー SWT」はオールバーズ初のトレイルランニングシューズ。足なじみが良く耐久性と通気性に優れ、高いグリップ力を備える。1万7000円/ともにオールバーズ 0800-080-4054


「ビジネスの力で気候変動を逆転させる。これが、サステイナブルに関するオールバーズの目標です」。

その製品と同様、シンプルで具体的な目標である。現在シューズ業界は全世界で年間約200億足を生産。その大半に環境へ悪影響を及ぼす素材が使用されている。

化石燃料由来の素材やエネルギーの使用が温室効果ガスを排出し、温暖化の一因となることはご存じのとおり。ではどうするか。オールバーズでは’25年末までに以下の3点(その中で細分化した10項目)の達成を目指している。

メリノウール100%のニットキャップ。滑らかな肌触りと高い保温性を発揮。各4500円

メリノウール100%のニットキャップ。滑らかな肌触りと高い保温性を発揮。各4500円/オールバーズ 0800-080-4054


1つ目が再生型農業の啓発活動だ。最新の研究によると、適切に管理された農地は排出量よりも多い量の二酸化炭素を吸収し、気候変動を逆転させるポテンシャルを秘めているという。

“適切に管理された農地”とは化学肥料を使わず、輪作や耕起回数の抑制を通じて生物多様性を回復した農地のこと。つまり豊かな土壌こそが温暖化を防ぐカギなのだ。

オールバーズは’20年3月、NZのクライストチャーチで「再生型ウールサミット」を開催。ウール生産農家や他のファッションブランド、専門家などを招き意見を交わした。

そして企業として再生型農業のサポートに努め、160以上の農家を再生型農業へと導いている。

[上]羊の生育環境や土地利用の高い基準を満たした農場と契約。品質的にもサステナブルな視点からも優秀なメリノウールのみを使用する。 [左下]自然素材をベースにしたスウェットシリーズ、「R&Rコレクション」のスウェットパンツ。部屋着やワンマイルウェアにも打ってつけだ。1万2500円 [右下]スリッポンタイプの「ラウンジャー」シリーズも人気が高い。アッパー素材や色のバリエーションも豊富。各1万2500円

[上]羊の生育環境や土地利用の高い基準を満たした農場と契約。品質的にもサステイナブルな視点からも優秀なメリノウールのみを使用する。 [左下]自然素材をベースにしたスウェットシリーズ、「R&Rコレクション」のスウェットパンツ。部屋着やワンマイルウェアにも打ってつけだ。1万2500円 [右下]スリッポンタイプの「ラウンジャー」シリーズも人気が高い。アッパー素材や色のバリエーションも豊富。各1万2500円/ともにオールバーズ 0800-080-4054


2つ目は再生可能素材の使用。その代表がメリノウールだ。通気性と保温性に優れた、柔らかな肌触りの天然素材。

素材としてのクオリティはもちろん、牧場の土壌や羊の生育環境にいたるまで、サステイナブルの高い基準を満たしたメリノウールのみを使用する。

そのほかアッパーにはユーカリ由来の「テンセル™リヨセル」、ミッドソールにはサトウキビ由来の「スウィートフォーム」などを活用。それでも「ナイロンやポリエステルに勝てない部分はある」と蓑輪さんは言う。

「そもそも化学繊維は入手が容易できわめて安価。加工も染色も技術が確立されていて、生産効率が高いんです。でも、何とかそこを変えていきたい」。

つまり、化学繊維に負けない素材の追求である。その一例が「トリノ™」。ユーカリ繊維とメリノウールを組み合わせた、柔らかさと通気性を兼備する素材だ。

さらに近年この「トリノ™」に、ズワイガニの殻から作られたキトサン繊維を加えた「トリノ™XO」を開発。天然の防臭効果を持つ素材として主にアパレル製品に採用している。

21年8月に登場した「ナチュラル ラン コレクション」。メリノウール、リサイクルポリエステル、「テンセル™️ リヨセル」などを素材に使用。Tシャツ6800円、ショーツ8000円

21年8月に登場した「ナチュラル ラン コレクション」。メリノウール、リサイクルポリエステル、「テンセル™️ リヨセル」などを素材に使用。Tシャツ6800円、ショーツ8000円/ともにオールバーズ 0800-080-4054


3つ目がエネルギーだ。主要工場では再生エネルギーを100%使用。製品輸送の95%を海上輸送へシフト。

そして興味深いのが、「オールバーズのアパレル製品について、お客さまの100%が常温洗濯、そして50%が自然乾燥」という目標設定だ。

つまり自社やサプライチェーンだけではなく、消費者とも目標と手段を共有している。自分たちだけではなくみんなで取り組む。そうしなければ、気候変動の逆転は不可能なのである。


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