ブランドがスタートしたのは2005年だが、メンズラインが発表されたのは’19年2月のこと。つまり我々男性にとってナヌーシュカは、とてもフレッシュなブランドだといえるだろう。
その服に対するビジョンと哲学を支えるサステイナブルという考え方について、デザイナーのサンドラ・サンダーさんに話を伺った。
服に対する哲学を支えているのがサステイナブルという考え方
予備知識なしにその服に袖を通して最初に感じるのは、コンフォータブルな着心地と美しいシルエットだ。来る’22年春夏コレクションについて、デザイナーのサンドラ・サンダーさんはこう語ってくれた。
「洗練された素材と官能的なシルエットは、(着る人にとっての)モダンな美しさや機能性、あるいは高級感や責任感を表現するための手段です。
襟元やカフス部分だけに使用された大胆な色使いは、ファッション本来の“着る喜び”への回帰を示唆してくれるでしょう」。
こんなサンドラさんの言葉からもわかるとおり、ナヌーシュカは、第一義的にはきわめてソフィスティケイトされたコレクションブランドなのだ。
そしてその服に対するビジョンと哲学を支えているのが、サステイナブルという考え方なのである。
「確かにサステイナブルは重要なテーマです。しかしながら同時に、とても複雑なテーマでもあります。
私たちはコレクションの中で、より意識的にオルタナティブ(※1)でオーガニックな素材を使用していかなければなりません。そしてゴールのひとつは、私たちの価値体系と機能(ビジネス運営)にサステイナブルを戦略的に組み込むこと。
これは長期的なプロセスとなります。今は少しずつ、ベストを尽くしながら取り組んでいるところです」。
ブランド設立当時からサステイナブルを徹底的に意識してきたナヌーシュカ。その意識はどのように具体的な取り組みに結びついているのか。もとよりすべてを記す紙幅はなく、すべてを記せばただの羅列になる。
今回はフォーカスを絞ってその重要なエッセンスを紹介していきたいと思う。
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