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2019.04.25

かぞく

夫への感謝と苛立ちが入り混じる言葉「それ、触らないでいいから」

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>連載「妻からの『キツイひと言』読解講座」をはじめから読む
夫たちが妻から言われた「キツいひと言」の裏側を、現役ママでもある筆者が紐解く本連載。第5回のテーマは「家事分担」にまつわるひと言。共働き家庭が当たり前になりつつある今、これで揉める家庭は多いようです。
 

やってもらうと余計にイライラする食器洗い

「私が食器洗いをすると綺麗に洗えていないと洗い直しをしている妻。最近は『洗わないで』と言われている。どうすればいいのか……」(41歳・男性)
「妻が食事後の洗い物が大変そうで、いつもため息をつきながらやっているので、できるだけ自分が洗うように心がけたが、『洗い物しないで』と言われた」(40歳・男性)
「家事を手伝うと怒られ、手伝わなければそれはそれで怒られる」(38歳・男性)
こういったやりとりは、私の周りのママ友たちの会話からも見えてきます。例えば「洗い物をしてほしいけど、夫がやると食器の油汚れが全然落ちてないから、結局後で洗い直しているのよね」とか「夫が洗濯物を干すと、シワシワのままだったり、広げて干していなくて半乾きになっていたり、微妙なんだよね」など。
おそらく、こういったことを感じて、がっかりした気持ちになった末に、夫に対してイライラした態度をとってしまったり、「洗い物しないで」と言ってしまったりしているのでしょう。
一方、夫側からすれば、せっかくやったことに対してそういう態度を取られると、やる気が失せるのは当たり前ですよね。「文句を言われるくらいならやらない」という気持ちにもなると思います。
こんなふうに、多くの夫婦が共通して揉めるということは、たぶん、家事スキルというものにおいて、もともとの男女間の能力の差が大きいということを認めざるを得ません。やる気の問題でしょ……と私も思っていましたが、それだけではないような気がしています。
さて、夫がやってくれた家事を見て妻は、「せっかくやってくれたのをやり直したり、改善点を伝えたりするのは申し訳ない」とまず感じます。
ただし、例えば食器に油汚れが残っていたとして、次にその食器を使うときに、見なかったことにしてそのまま使えるレベルならいいのですが、どうしてもやり直ししないと気が済まない場合もあります。ただでさえ忙しいのに、余計な仕事が増えるわけで、そこにイライラする。
さらには、せっかくやってくれたのに「汚れが残っていたよ」というのも、なんだか嫌味のようで言いたくない……。だったらやってもらわないほうがマシ。妻の脳内でそういう結論になり、「やらなくていいから!」となってしまうわけです。

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家事は見える化&明確な分担がキモ

この夫婦間の溝をどうやったら埋められるのでしょうか。普通に考えれば、家事はふたりで分け合ってやるもの、という前提に立って、家事分担の落とし所を探すしかありません。
しかし、うまい落とし所を探すのは、そう簡単にできるわけではありません。そもそも女性は交渉ごとが苦手という人も多い。相手(夫)が嫌な思いをしない言い方でお互いが納得できる落とし所に持っていける人は、なかなかいないのではないでしょうか。
話し合っているうちに、ついつい感情的になってしまったりもします。だから、そんな面倒な交渉をするくらいなら、私が我慢すればいいのでしょ、となってしまいます。
そこで、夫の皆さんには、ふたりにとって双方が納得できる分担のしかたを探す話し合いを、リードしていただくのが良いのではないかと思っています。
そこで、まずやっていただきたいことは、最近はよく言われていることですが、家の中で誰かがやらなければならない仕事をリストアップして見える化すること。その中から、自分でもできそうな家事、あるいは、妻が「これはあなたにやってほしい」と思っている家事がどれなのかヒアリングし、それぞれが担当する家事を決めるといいのではないかと思います。
ちなみに、妻たちが文句をいいがちな家事は、私がこれまでにママ友たちに聞いた話から考えると、食器洗いと洗濯物干しだと思います。また、食事作りやそれに付随する食材の買い出しなども、よほど夫が料理好きでないかぎり、妻に任せている家庭が多いと思います。逆に掃除関係は、夫のほうが得意という家庭も多そうです。
家事分担で揉める原因のひとつとして、そもそもどんな仕事が日々発生しているのかが明確になっていないから、ということがあるように思います。その点から言っても、一度リストアップしてみる意味は大きいです。
分担を明確に決めて、それぞれ相手の領域にはあまり口出ししないということが、イライラしたり揉めたりすることを防ぐのに重要なのではないでしょうか。
ちなみに、我が家では、毎日の食器洗いと洗濯物を干すのが夫の担当となっています。私もこの2つは自分でやりたいのですが、仕事から帰ってくる時間などを鑑みて、夫が担当したほうが効率がいいと判断したからです。
私の場合、夫がやってくれた家事に改善してほしい点があるときには、その都度言っています。例えば「油汚れが落ちていないことが多いから、もうちょっと力を入れて、ギュッギュッと洗って」とか。喧嘩になったり、揉めたりすることもありますが、たいていは改善の努力はしてくれるので、私もなるべく細かいことは言わないようにしています。
女性はついつい細かいところまで目が行ってしまう、ということはご了承いただきたい点ではありますが、それを踏まえた上でうまい着地点を見つけてみてください。
 
相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と、もうすぐ小学校に入学する娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。
MIYU=イラスト
ネオ・マーケティング=アンケート協力
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