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2018.11.24

ライフ

平山祐介の推薦図書④こんな生き方できたらな……『病葉流れて』

オーシャンズゆかりのモデルたちはどんな余暇を過ごしてる? 彼らの普段見えない部分を取材する企画の一人目は、俳優としても引っ張りだこの平山祐介さん。“本の虫”としても知られる彼に聞いた、オーシャンズ読者が絶対にハマる推薦図書とは?
今回の『病葉流れて(わくらばながれて)』は、大学で出合った麻雀に身を投じた男の半生を描いたもの。
全8巻という長編シリーズにもかかわらず、最後まで一気読みしてしまうほどの面白さだったという。
インタビューでは、過去に麻雀で大負けした経験もあるというユースケさんの意外(?)なエピソードも明かされた。
俳優、平山祐介が人に強くオススメしたい本『病葉流れて』
『病葉流れて』
白川道・著/幻冬舎
大学に入学したばかりの主人公・梨田雅之が麻雀と運命的な出会いを果たす。やがて麻雀にのめり込み、ギャンブルの道で生きていくことを決意。大学生から大人へと成長していく梨田の半生を描いた麻雀小説は、作者自身の自伝だと言われている。
──ギャンブル小説が挙がるとは意外ですね。
平山「この本は簡単に言うと麻雀にハマった若者の話。地方から東京の大学に出てきた若者が大学生活には面白みを感じられず麻雀に没頭し、色々な人と出会っていく。麻雀に没頭しながら大人になるまでの成長を、シリーズを通して描いた作品です」。
──ユースケさんも麻雀するんですか?
平山「高校生時代にやったことがあったけど、一緒にやった奴がめちゃめちゃ強くて、大負けして。『なんだよっ!』って感じで辞めました(笑)」。
──大負けしたんですか!(笑)
平山「それ以来、麻雀はやってません。ギャンブルに身を焦がしているオーシャンズ読者は少ないと思うけど、それでもこういうスリリングな生き方に憧れる人も多いんじゃないかな。『ハードボイルド』にカテゴライズされる本だけど、もう少し泥臭いんですよね。
主人公はヒモになって麻雀ばかりやってるし、決して褒められた生き方をしているわけじゃない。今の時代にこういう人いるのかな? 昭和の時代はいたと思いますけど、ちょっと憧れる生き方ですね。身ひとつで生きていくところにカッコ良さも感じます」。
──なるほど。
平山「それに、ああやって4人の人間が顔を合わせて麻雀をやるのって、何か“色っぽさ”がありますよね。麻雀をやってると、運が必ず回ってきたり、勝負勘が働いたりする。それは、普通の生活の中にも必ずあることですよね。
本の中でも、イカサマ上手な人間と勝負する場面もあれば、自分の師匠に『配られる牌の筋が崩れていくからイカサマだけは絶対にするな』って教えられたりもする。そこから人生論のようなものに派生していく。麻雀の知識がなくても多分楽しめますよ」。
2/2

──ちなみにユースケさんが読んだのはいつですか?
平山「最近ですよ。ここ5年以内。実は俳優の椎名桔平さんに白川道さんの『龍の道』って本を勧められたんですけど、それがすごく面白くて。それで次に『病葉流れて』にピンとくるものがあって読み始めたんですよね」。
──椎名桔平さんがキッカケだったんですね。
平山「この『病葉流れて』を書く前、白川さんはバブル時代を背景にした『流星たちの宴』という本を書いています。面白いのが、主人公は白川さん自身をモチーフとされているんですよ。麻雀で生計を立ててきたなか、ある女性に出会い、『あなたはそのうち文章を書いたほうがいいわよ』と言われる。多分、ご本人もそう言われて書いたのが『流星たちの宴』だと思います」。
──そんな裏話があったとは。
平山「『病葉流れて』が『流星たちの宴』の前日譚になっているんですよ。だんだん『流星の宴』の時代に話が近づいているんだけど、まだその合間は埋まっていない。だけど、もう白川さんは亡くなられてるんです」。
──では、もうその空白が埋まることはないんですね。
平山「そう。『龍の道』も実は途中で終わっている。そういう意味で、作品にも作者にも、完成せずに散ってしまう切なさを感じますよね」。
──全8巻とはなかなかの長編ですが、一気に読み切ったんですか?
平山「読み切りましたね。最後まで一気に。主人公がどういう男に成長していくのか、気になって気になってページをめくる手が止まらなかった。でも仕事もあるので、3〜4カ月はかかったかな。普段、こういうシリーズモノの場合は、気分転換に途中でほかの小説を挟んだりもしますが、これに関しては別の本を読む気にはならなかったですね」。
──ユースケさんの憧れる男性像がここにある?
平山「白川さん自身、めちゃくちゃモテたみたいです。主人公もそうですが、女性が放っておけない男なんでしょうね。僕はこうやって生きられない。だから自分を投影してる気になるし。だから、小説が好きなんです」。
 
ユースケさんが自分を投影したくなる小説とは、気になるじゃないか。次回は話題のノンフィクション『プラントハンター』(徳間書店)をレコメンド。お楽しみに!
清水健吾=写真 TAKAI=ヘアメイク ぎぎまき=取材・文

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