──ちなみにユースケさんが読んだのはいつですか?平山「最近ですよ。ここ5年以内。実は俳優の椎名桔平さんに白川道さんの『龍の道』って本を勧められたんですけど、それがすごく面白くて。それで次に『病葉流れて』にピンとくるものがあって読み始めたんですよね」。
──椎名桔平さんがキッカケだったんですね。平山「この『病葉流れて』を書く前、白川さんはバブル時代を背景にした『流星たちの宴』という本を書いています。面白いのが、主人公は白川さん自身をモチーフとされているんですよ。麻雀で生計を立ててきたなか、ある女性に出会い、『あなたはそのうち文章を書いたほうがいいわよ』と言われる。多分、ご本人もそう言われて書いたのが『流星たちの宴』だと思います」。
──そんな裏話があったとは。平山「『病葉流れて』が『流星たちの宴』の前日譚になっているんですよ。だんだん『流星の宴』の時代に話が近づいているんだけど、まだその合間は埋まっていない。だけど、もう白川さんは亡くなられてるんです」。
──では、もうその空白が埋まることはないんですね。平山「そう。『龍の道』も実は途中で終わっている。そういう意味で、作品にも作者にも、完成せずに散ってしまう切なさを感じますよね」。
──全8巻とはなかなかの長編ですが、一気に読み切ったんですか?平山「読み切りましたね。最後まで一気に。主人公がどういう男に成長していくのか、気になって気になってページをめくる手が止まらなかった。でも仕事もあるので、3〜4カ月はかかったかな。普段、こういうシリーズモノの場合は、気分転換に途中でほかの小説を挟んだりもしますが、これに関しては別の本を読む気にはならなかったですね」。
──ユースケさんの憧れる男性像がここにある?平山「白川さん自身、めちゃくちゃモテたみたいです。主人公もそうですが、女性が放っておけない男なんでしょうね。僕はこうやって生きられない。だから自分を投影してる気になるし。だから、小説が好きなんです」。
ユースケさんが自分を投影したくなる小説とは、気になるじゃないか。次回は話題のノンフィクション『プラントハンター』(徳間書店)をレコメンド。お楽しみに!
清水健吾=写真 TAKAI=ヘアメイク ぎぎまき=取材・文