2018.11.20
LIFE STYLE

「読書が人生を変えていく」。俳優・平山祐介が本を読む理由

オーシャンズゆかりのモデルたちはどんな余暇を過ごしてる? 彼らの普段見えない部分を取材する企画の一人目は、俳優としても引っ張りだこの平山祐介さん。“本の虫”としても知られる彼に聞いた、オーシャンズ読者が絶対にハマる推薦図書とは?

撮影のちょっとした空き時間でも文庫本を開き、静かに没頭する。そんな読書家・平山祐介の姿は、ロケ現場で一緒になったスタッフであれば見慣れた光景だ。

読書は、間違いなく平山祐介という男を形成した欠かせない要素のひとつ。つまり、このカッコいい男の本質を知るには、彼の“読書愛”に迫らなければならない。ということで、ユースケさんに4時間にも及ぶロングインタビューを敢行。

初回は「平山祐介の読書ライフ」をテーマに話を聞いた。

現在、平山祐介さんが所持する本の“一部”。編集部からの「読者にオススメしたい本を持ってきて!」というリクエストにドサッと100冊以上。スケールがデカい。

──ユースケさんが読書にハマったキッカケは何だったんですか?

平山「実は、子供の頃は全然読書がダメで(苦笑)。ただ、両親が読書家だったから家にはいつも本がありましたね。母親が椎名誠さんのエッセイが好きで、そこからちょっと本に興味を持つようになったのを覚えてます」。

──椎名誠さんが入り口だったんですね。それはいつ頃の話ですか?

平山「高校生くらいかな。どこかの無人島に行った大人たちが焚き火をして、酒飲んで、酔っ払って騒ぐって話。椎名さんのエッセイって、だいたいいつもそうなんだけど(笑)」。

──そうなんですね(笑)

平山「『いいオッサンたちが何やってんだ』って思って、でもそれがなんか面白くて。それに椎名さんはプロレスやボクシングが好きだから、そういう男くさいエピソードも散りばめられている。大学卒業するまでは椎名さん以外は読めなかったですね。他の作家さんの本だとすぐ寝ちゃって……(笑)」。

──意外ですね。社会人になってからはどうですか?

平山「それからは友達に『これ面白いよ』って勧められた本を読んだりしたけど、今でも覚えているのは、パトリシア・コーンウェルの『検屍官』シリーズ。あれは抜群に面白かった!」。

──翻訳ものは読みづらくなかったですか?

平山「それが全然読みづらくなかった。検屍の様子がリアルに描かれていて、ストーリー展開もすごく良くて。検屍官とFBI捜査官の恋愛もあったりね。そこからかな、小説を面白いって思うようになったのは。一気に横山秀夫とか今野敏なんかの警察小説にも手を出し始めました」。

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──出張に行くときも本は欠かさない?

平山「モデルを始めてから仕事でヨーロッパに行くようになったんですけど、行き帰りの飛行機の中はもちろん、ファッションショーに出るときも待ち時間が長いから本を読んで時間を潰したり。今も海外に行くときは5〜6冊の本は持っていきますね」。

え! そんなに! 

平山「うん。何もないと本がほしいな、って感じます。でも最近は俳優の仕事で台本を読む機会が増えて。毎回、クランク・インの前や撮影初期のほうで役作りに没頭する時間があるんですけど、実はそういうときに小説の話が入ってくると、ちょっと役作りしにくいんですよね」。

──確かに脳内でストーリーが混ざりそうですね。

平山「だから、最近は本を読めるときはある程度の落ち着きがあるときです。それが逆にすごく解放的で。読書がまさに“余暇”になってます。ひょっとしたら今がいちばん、本を読む幸せを感じているかもしれません(笑)」。

──(笑)。ちなみに、どんなときに本を読むことが多いんですか?

平山「家では映画やドラマを観ることが多いから、やっぱり仕事の待機時間かな。ドラマでは5〜6時間の待機もざらで、午前中に撮影して、夜またスタジオ入りすることだってあります。『あ、今日は空き時間にクルマやカフェで本を読めるな』って思うと、家を出るときからちょっとうれしいです(笑)」。

──家でまったり晩酌しながらは?

平山「僕はお酒が好きだから、飲み始めちゃうと話が頭に入ってこなくなるからね(笑)。でもほろ酔い程度なら。自分の部屋でウイスキーを飲みながらっていう本の読み方は至極の時間です」。

──そもそも論として、そこまで読書が好きな理由はズバリなぜでしょう?

平山「本は自分で想像ができる。イメージは無限大じゃないですか。例えば小説の映画化が難しいと言われるのもそこで、『読者それぞれが作り上げるイメージとの差異を埋められない』っていう現実があると思うんですよ。もちろん実写には実写の良さがあるんですけどね」。

──なるほど。

平山「小説を読んでいるときは、その世界が自分の頭の中で勝手にぐんぐん拡がっていく。登場人物の身なりや風貌、そして声──。イメージが膨れ上がるのがすごく楽しいし、その登場人物に自身を投影することだって出来るんです。現実逃避じゃないけど“フィクションの中で生きられる”と言い換えてもいい」。

──小説の世界を追体験する感覚ですか?

平山「そうですね。それに、小説であれエッセイであれ、自分が知らない世界を知ることで新しい知識がインプットできる。自分の視野を広げる助けにもなってると思う。ネットで検索した情報より、本から吸収したことのほうが熱量がある気がしますね、って、ちょっと古いオッサンみたいですけど(笑)」。

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──読書が役に立った瞬間ってありますか?

平山「活きているかはわからないけど、何か役をいただいたら、『あの本のあの登場人物みたいな空気感が出せるといいな』とか意識することもありますね。例えば『ワイルド・ソウル』っていう僕が影響を受けた小説に南米の殺し屋が出てくるんだけど、よく映画で見るような陰のあるシリアスな人物じゃなく、すごく陽気なんですよ」。

──陽気な殺し屋、ですか?

平山「陽気で面白いやつが仕事のときにだけ冷酷になって人を殺す。本当にそういう殺し屋がいたら怖いし、どっかで演じる機会があったらいいなと思う。ほかにもこの人物の“色っぽさ”を出してみたいな、とかね。読書は、自分が演じるうえで参考にする要素にはなっています」。

──読書から受けた影響は大きい?

平山「それはそうだと思います。小説じゃないけど、小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』も好きで読みました。そこから政治的なことへの興味もすごく湧いたし、ある意味自分が持っているそういうことへの意見は、彼の影響もあると思います」。

 

次回はユースケさんが人生でもっとも影響を受けた小説『ワイルドソウル』(幻冬舎)の魅力を本人が語る。お楽しみに。

 

清水健吾=写真 TAKAI=ヘアメイク ぎぎまき=取材・文

# 平山祐介# # 読書
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