2020.12.18
HEALTH

食べ物の組み合わせ方で消化時間が全然違う。「アダムスキー式腸活法」を解説

当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちらから。

口から取り込んだ食べ物が腸に下りてくる「速さ」には差があります(写真:fcafotodigital/iStock)

腸がすべて:世界中で話題! アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』(フランク・ラポルト=アダムスキー 著、澤田幸男 監修、森 敦子 訳、東洋経済新報社)の著者は、世界的に知られる自然療法士、オステオパシスト。

高校時代からプロのアスリートを目指していたものの、「ショイエルマン病」という脊髄が硬化する病にかかったためにやむなく断念。しかし、そののち「自分の人生には別の新たな可能性があるはずだ」と前向きに考えられるようになり、「運動療法」を学びはじめた。

その結果、行き着いたのが「オステオパシー」(人間の自然治癒力を最大限に活かそうとする医学)。そこから人間の体全体の働きに興味を持ち、やがて「アダムスキー式腸活法」の基本を構築したのである。

「腸の流れ」によって決まる

背中にかかわることだけでなく、偏頭痛、血行不良、肥満、不眠など、あげればきりがない体の機能不全のほとんどが、“たったひとつ”の基本的な要素、すなわち「腸の流れ」によって決まるという考え方にたどり着いたのです。(「はじめに……世界中で支持され続ける『アダムスキー式・最強の腸活法』誕生秘話」より)

そんな「アダムスキー式腸活法」の根幹をなすのは、口から取り込んだ食べ物が腸に下りてくる「速さ」がカギだという考え方。

つまり食品を腸に「下りてくるのが速い食品(ファスト)」と「下りてくるのが遅い食品(スロー)」に分け、そこから食べ物を正しく学ぶ方法、そして腸に負担をかけない、腸を詰まらせない食事のとり方を学ぶものなのである。

『腸がすべて:世界中で話題! アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』
『腸がすべて:世界中で話題! アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』

いたってシンプルではあるが、いわゆる「食べ合わせの悪いもの」がこれにあたると表現すれば、それが理にかなっていることであると理解しやすいかもしれない。

日本でも「ウナギと梅干」「カニと柿」などの食べ合わせが悪いという言い伝えがあるが、そこには根拠がある。食べ物の組み合わせを間違えると、腸内で発酵や腐敗が繰り返されるため毒素が生じてしまうのだ。

腸の流れが極端に遅くなるということは、食べたものが腐敗し、消化管の壁に漆喰のようにへばりつく時間が長くなるということ。消化管に着目した包括的な健康法である「アダムスキー式腸活法」は、そうしたダメージを避ける簡単な方法だということである。

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食事においては、食べ物を正しく組み合わせることが重要。なぜなら、そうすれば「腐敗」を引き起こすさまざまな組み合わせを避けることができるからである。

なお、ここで意識しておきたいのが「腸の2つの流れ」だ。

★腸の2つの流れ❶「タテの流れ」
口から取り込んだ食べ物を大腸の終わりまで下ろし、不必要な成分や有害な成分を体から取り去ります。
★腸の2つの流れ❷「ヨコの流れ」
体が消化によって蓄えたい物質を取り込み、血液中に存在する有毒な物質を除去します。
(47ページより)

このように、腸には食べ物を消化吸収するための完璧なシステムが備わっている。しかし消化管の中で食べ物が腐敗すると、腸の「タテの流れ」も「ヨコの流れ」も遅くなってしまう。そして、その腐敗が万病のもとになるというわけだ。

「食べ物が消化管を下りてくる速度」に着目

そこで著者は長きにわたり、「食べ物が消化管を下りてくる速度」を研究してきた。

その結果、食べ物には大きく2つのカテゴリーがあり、その2つはどんな理由があっても絶対に1回の食事で結び付けてはいけないことがわかったという。

まず「消化の速い食品(ファスト)」。これらは消化管全体をたった30分で「走り抜け」ます。
もうひとつが「消化の遅い食品(スロー)」。これは、口から胃までを4〜5時間、さらに小腸を通過するのに7〜9時間かかります。

そのほか、この2つに比べれば数は少ないのですが、どちらにも当てはまらない第3のカテゴリーが存在します。これが「ニュートラルな食品」です。

これは、腸の流れの促進剤になるので、「消化の速い食品」でも「消化の遅い食品」でも関係なく組み合わせることができるのです。(124〜125ページより)

食品によって消化の速さに差があるというのは、考えてみれば当たり前の話だ。だからこそ「消化の速い食品」と「消化の遅い食品」を絶対に組み合わせないこと、それが「アダムスキー式腸活法」の肝となるのである。

そのような食べ合わせをすると、消化に通常の3倍以上の時間がかかるため、消化管は自浄に必要な時間がとれなくなる。そのため、有害な汚れがこびりついていくわけだ。

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では、なにが「消化の速い食品」なのだろう? 著者によれば、ほぼすべての果物は「ファスト=消化の速い食品」のカテゴリーに入るそうだ(ただしココナッツやアボカドなどの例外もある)。

生の果物だけでなく、加熱したものやアルコール漬け、ジャムも同様。したがって、いちじくやナツメ、あんずやプルーンを乾燥させたドライフルーツも「消化の速い食品」と考えていいだろう。

意外なのは、リモンチェッロ(レモンのリキュール)など、果実ベースでアルコール度数の高いお酒も「消化の速い食品」と考えていいということ。それらが「食後向き」とされるのは間違いだというのだ。

お腹いっぱい食べたときには、無色透明でアルコール度数の高いものを飲むようにするといいのだとか。例えばグラッパはブドウ由来だが、発酵の過程で「ファスト」から「ニュートラル」に変わるので、食後に飲んでも心配はないようだ。

果物は1日1回だけ食べるのが理想

果物は、食事から時間を空け、1日1回だけ食べるのが理想です。
午後6時の軽食は、消化の遅い昼食の4〜5時間後、消化の遅い夕食の最低1時間半前ですから、果物を食べるのにぴったりのタイミングです。そして、世界中どこにいても守るべきことがあります。それは、その場所で育ったものを、その場所の気候に合ったタイミングで食べるということです。
つまり、旬のものを食べるということです。(128ページより)

そうすれば、消化もうまくいくようにできているということだ。

なお消化管を30分で通過する「消化の速い食べ物」もあり、はちみつ、緑茶、ヨーグルトがそれにあたる。トマトやかぼちゃ、パプリカ、唐辛子といった意外な食べ物、またカレー粉やパプリカパウダーといった唐辛子やパプリカ由来のスパイスも「消化の速い食品」。

そして、この「発見」から誕生したのが、「アダムスキー式腸活法」における第1の戒律。それは、トマトは健康に欠かせない食べ物だということだ。定期的に、可能であれば毎日でも摂取するべきだという。

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ただし、絶対に「消化の遅い食事」の中で摂取してはいけない。果物と同じように短時間で消化管を下りてくるため、組み合わせを間違えると消化トラブルの原因になるのだ。

したがって、「ファスト(トマト)」と「スロー(パスタ)」を組み合わせた「ファストトマトソースのパスタ」や、「ファスト(トマト)」と「スロー(ピザ)」を組み合わせたピッツァ・マルゲリータなどはNGということになる。残念な話ではあるが、心にとどめておいたほうがよさそうではある。

となると、なにが「消化の遅い食品(スロー)」なのかが気になるところだが、「消化の速い食品(ファスト)」以外のほぼすべてがそれにあたるのだという。つまり私たちが栄養成分を摂取している食べ物の大半が「消化の遅い食品(スロー)」に該当するということだ。

まずは野菜で、生か加熱済みかは無関係(かさが大きいほどよい。繊維が多く含まれるため、消化管で「煙突掃除人」の働きをするからだ)。例外として「スロー」に含まれないのはナスで、これは「ニュートラル」。

「スロー」の食材には、このほか、パスタ、パン、米、ピザ、じゃがいも、とうもろこしなどの穀類、肉、魚、チーズ、卵、豆、豆腐、グルテンミートなどの動物性・植物性たんぱく質、くるみ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、栗、ピスタチオ、ピーナッツなどのナッツ類があります。(131ページより)

ニュートラル=どちらでもない食品

「ニュートラル」は「ファスト」でも「スロー」でも関係なく組み合わせられる食品で、腸の流れを速くしてくれる。

油、酢、にんにく、玉ねぎ、エシャロット、ハーブやスパイス(ただし、カレー粉や唐辛子やパプリカ由来のスパイスは除く)、そして「遅い食品」に入らない野菜、ナスです。

ワイン(赤がおすすめ)、牛乳、砂糖、紅茶、コーヒー、チョコレート(ミルクチョコレートではなくビターチョコレート。カカオ70%以上のチョコレートを選ぶこと)もそうです。(132ページより)

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さて、著者はここで、約2500年前のギリシヤを生きた「現代医学の父」、ヒポクラテスが提唱した“心構え”を引き合いに出している。

<治療にとりかかる前に、病の根源をすべて放棄する覚悟ができているかどうかを患者に尋ねよ>(133ページより)

なぜ、何千年も前の言葉を持ち出してくるのか、それには理由がある。「アダムスキー式腸活法」を進めていくと、人によっては大好きな食べ合わせを我慢しなくてはならなくなるからだ。

とはいえ「身を切るほどの犠牲を払え」ということではなく、「ちょっとした美食の誘惑を断とう」ということなのだが。

つまり、その準備さえできていれば、健康面でも美容面でも、一時しのぎではない具体的な効果が得られるということ。なにかを100%我慢しろというわけではなく、これまで食べてきたものを食べてもOK。ただ、食事の構成を変えることが必要だという考え方なのだ。

「奇跡」でも哲学思想でもない

「アダムスキー式腸活法」は、一時的にやりさえすればどうにかなるというものではないと著者は記している。「奇跡」の健康法でも、哲学思想でもないと。

ただし効果は開始してから数日で表れ、8~12カ月実践することで、機能不全から解放されるために基盤が体の中に整うという。

❶消化管の滑りをよくする
❷蒸発残留物の少ない水を飲む
❸食べ物を正しく組み合わせる
(145ページより)

こうすれば食べ物はひとりでに消化管を滑り落ち、体に必要な物質が正しく吸収されるようになるというのだ。

そう考えると「アダムスキー式腸活法」は、あらゆる視点を考慮しながらバランスをとってつくられた食事健康法にすぎないと言えるのかもしれない。

体や心だけでなく、私たちを取り巻く環境のことも、きちんと考慮に入れてあるわけだ。

個人的には、「奇跡」でも哲学思想でもなく、ちょっとした工夫をすればいいという考え方に納得できるものを感じた。これなら、無理なく取り入れることができる気がするからだ。

 

印南 敦史:作家、書評家
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記事提供:東洋経済ONLINE

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