リジッドデニムは穿いていくうちに魅力が深まっていきます。
本記事では、自分好みのリジッドデニムを育てる方法について、お手入れのポイントや注意すべきことなどを紹介します。この記事を読めば、あなたのデニムを一層自分好みで魅力的に、そして長く愛用できるようになるでしょう。
リジッドデニムとは?
まず、リジッドデニムとは何か、について解説します。どのようなデニムをリジッドデニムと呼ぶのでしょうか?
その点を再確認して、リジッドデニムの魅力を再認識しましょう。
リジッドデニムの定義
リジッドデニムとは、ノリがついたままで水洗いされていない状態で市場に出されるデニムのことを指します。
リジッドデニムのリジッド(rigid)は英語で「固い」という意味であり、この状態のデニムは固く、色止めが十分ではありません。そのため、穿き方や洗濯の仕方によって経年変化が異なり、時間をかけて自分自身のライフスタイルに合わせた独特の色落ちパターンを生み出すことで、独自のデニムを育てることができます。
この点がリジッドデニムがリジッドデニムである所以です。
生デニムとリジッドデニムの違いは?
リジッドデニム=生デニムと言われることもありますが、厳密には以下の違いがあります。
- リジッドデニム:ノリ付きかつ未洗いで、防縮加工がされている
- 生デニム:ノリ付きかつ未洗いで、防縮加工がされていない
つまり、ノリ付きかつ未洗いで、未加工の生デニムに、防縮加工を施したのがリジッドデニムとなります。
ただし現在では、ノリ付き未洗いのデニム生地のことをまとめてリジッドデニムと呼ぶことが多く、購入する際にもそのように記載されている場合が大半です。
それ以外の特徴については、生デニムとリジッドデニムでは違いはありません。例えば両方とも耐久性があって長期間の愛用が可能で、さらに穿き方や洗濯の仕方による経年変化によって自分好みの色落ちパターンを育てることも可能です。
リジッドデニムが人気の理由
リジッドデニムの人気の理由は、何と言ってもその経年変化にあります。
リジッドデニムは未加工の状態で市場に出されるので、穿く人それぞれに異なる経年変化が生じます。これにより、自分だけの個性あるデニムを所有することが可能となります。
また、デニム生地は通常厚手で丈夫な生地なので耐久性に優れていて、長期間愛用することが可能です。そのことは環境への影響を抑えることにもつながり、サステナビリティ志向の消費者にとって魅力的です。
さらに、現在ではデニムはおしゃれなファッションアイテムとして認知されていることも人気の理由の一つです。
リジッドデニムの育て方!洗うタイミングと頻度を考える
ここではリジッドデニムの育て方について、以下の点に着目して解説します。
- ファーストウォッシュの目安:ファーストウォッシュのタイミングは?
- 色落ちの仕方の好み:洗う頻度による違いは?
- アタリの付け方の好み:洗う頻度による違いは?
- 生地の傷み具合:洗う頻度との関係は?
この記事を読んで、自分好みの、自分だけのリジッドデニムに育てる参考にしてください。
ファーストウォッシュの目安
リジッドデニムのファーストウォッシュのタイミングは、個人の好みやデニムの使い方に依存しますが、「3ヶ月から6ヶ月の着用後」がおすすめです。
リジッドデニムを3ヶ月から6ヶ月間穿き続けることでデニムが体になじみますし、ノリが付いたままで未洗いの固い状態では最もアタリ(擦れて色落ちした部分)が出やすく、きれいな色落ちが実現しやすくなります。
長期間穿き続けることで気になるのが臭いですが、デニム専用の消臭スプレーもあるので活用してみましょう。
また買ってすぐにワンウォッシュして育てる場合は、ノリが落ちて動きやすくなる半面、リジッドデニム特有の光沢感が失われることを念頭に置いておきましょう。
色落ちの仕方の好み
リジッドデニムの色落ちの仕方は洗濯頻度によって変化しますが、「3ヶ月に1回程度」がおすすめです。
リジッドデニムの洗濯を3か月に1回程度にすると、色落ちの進行は遅く、メリハリのある色落ちになります。デニムは硬さをある程度保ちつつ、深い色落ちを示してくれます。
それに対して頻繁に洗濯を行うと、色落ちの進行は早まってしまいます。それはそれで特徴的な色落ちの仕方を示しますが、色落ちの仕方にこだわりがある場合は自分好みの色落ちに制御するのが難しくなるでしょう。
さらに一切洗わない場合、色落ちの進行は非常に遅く、デニムは硬いままで、濃いインディゴ色を保持します。そうすることで摩擦による色落ちを目立たせることができます。
ただしその場合はデニム専用の消臭スプレーなどで臭いのケアを忘れずに行いましょう。
アタリの付け方の好み
リジッドデニムのアタリの付け方は穿き方と洗濯頻度に大きく影響されますが、「3ヶ月に1回程度」がおすすめです。
リジッドデニムの洗濯を3か月に1回程度にすると、アタリがはっきりと目立ち、特徴的な色落ちパターンが形成されます。デニムは硬いままで、アタリが深くなります。
それに対して頻繁に洗濯を行うと、アタリの発生は抑えられ、比較的均一で薄い色落ちパターンが形成されます。アタリは薄くてはっきりしないことがあります。
さらに一切洗わない場合はアタリが非常にはっきりと現れます。デニムは硬いままで、深いアタリと色落ちパターンが形成されます。ただしその場合は言うまでもありませんが、臭いのケアだけは忘れずに行いましょう。
生地の傷み具合
リジッドデニムの生地の傷み具合は洗う頻度によって大きく影響されますが、「3ヶ月に1回程度」がおすすめです。
リジッドデニムの洗濯を3か月に1回程度にすると、デニム生地は比較的長持ちし、優れた耐久性を十分発揮できます。
それに対して頻繁に洗濯を行うと、デニムの生地は繊維が劣化することにより生地が柔らかくなり、早く傷みやすくなります。一切洗わない場合、デニム生地は洗濯による生地の傷みはありませんが、擦れによる傷みが見られるようになります。
生地の傷みは洗濯以外にも穿き方や繊維の品質、周囲の環境にも依存しますが、洗濯のタイミングを選び、適切なケアを行うことで生地の傷み具合をコントロールしましょう。
生地の伸び縮み
リジッドデニムの生地は、ファーストウォッシュで大きく縮み、それ以降縮み幅は落ち着いてきます。また、穿くことで体に合わせて生地が伸び、フィット感が向上します。リジッドデニムの生地が洗濯すると縮むのは綿素材であるためで、ファーストウォッシュで大きく縮むのは水に一度も浸かっていないためです。
「洗濯することで縮み、穿くことで伸びる。」このサイクルを繰り返すことで穿いた際のフィット感が向上します。
つまり、リジッドデニムは洗濯後の縮みを考慮して購入する必要があります。縮み幅についてはメーカーや使用している生地によっても異なるので、メーカーのサイトなどで確認してから購入するようにしましょう。購入するサイズはぴったりのサイズではなく、少し余裕があるくらいのサイズ感で選ぶことがおすすめです。
リッジデニムの色を落とさない洗濯
リジッドデニムを自分好みの色落ちにするためには、何も考えない洗濯による急速な色落ちは極力避けたいところです。そこで、以下の点に着目してリジッドデニムの洗濯について解説します。
- 洗濯の方法
- 洗剤
- 生地の向き
- 乾燥の仕方
この記事を読んで、自分好みの色落ちを実現するための参考にしてください。
洗濯の方法
デニムの汚れが生地を傷めることにもつながるため、洗濯も必要となるケースがありますが、誤った方法で洗濯してしまうと、逆に生地を傷めてしまったり、意図しない色落ちが発生してしまいます。
そこで、洗濯を行う際の注意点を以下に挙げます。
- 洗濯の頻度は極力減らす
- 水で手洗いもしくはつけ洗い
- 洗濯機を使用する場合は、「短時間モード」、「ドライ(おしゃれ着洗い)」、「ソフトコース」などで行う。
- 洗濯機を使用する場合は、デニムを裏返して洗濯ネットに入れて行う。
- 洗剤はデニム用洗剤を使用。
- 風通しの良い場所で陰干し
デニムは青色の染料であるインディゴで染められていますが、このインディゴは洗濯することで少しずつ落ちてしまいます。
また洗濯による色落ちはデニム全体の色が薄くなるため、自分好みの色落ちパターンとなるようにコントロールすることが困難です。そのため、洗濯の頻度は極力減らして洗濯による色落ちを防ぎましょう。
温度が高いと色落ち度もあがってしまうため、水を使用するのが最善です。
洗濯の際に受ける生地へのダメージを考慮して、できるだけやさしいコースで洗濯を行いましょう。
デニム表面を裏返すことで洗濯層の内側に擦れて生地を傷めないよう洗うことができます。もし裏返すのが面倒な場合には、洗濯ネットの使用がおすすめです。
洗剤にはインディゴの色を落とさずに汗や皮脂などの汚れを落としてくれるデニム用洗剤を使用しましょう。エマールやアクロンなどの中性洗剤でも問題ありません。
蛍光増白剤や漂白剤が入っているものは色落ちしたり変色する可能性があるので避けた方が無難です。
洗濯が終わり乾燥させるときには、直射日光に長時間当てないように注意しましょう。デニムの色褪せが特に進んでしまいます。
洗剤
洗濯する際に使用する洗剤は、デニム用洗剤を使用しましょう。
色落ちを防ぐには、水洗いのみで洗剤を使用しないほうがいいですが、それだけでは汗や皮脂などの汚れが落ちないため、洗剤を使用した方がいいケースがあります。
しかし、一般に市販されている家庭用洗濯洗剤のほとんどに「蛍光増白剤」、「界面活性剤」、「酵素」など汚れを落とすための成分が入っています。その成分の一部がデニムの染料に悪影響を与えてしまってインディゴも落ちやすくなってしまうため、インディゴの色を落とさずに汗や皮脂などの汚れを落としてくれるデニム用洗剤の使用をおすすめします。
また、蛍光増白剤や漂白剤が無配合の中性洗剤(エマールやアクロン)は生地への負担が少なく、ある程度色落ちを抑えることができるので、使用しても問題ないでしょう。
生地の向き
洗濯する際には、デニムを裏返して洗濯することをおすすめします。
裏返さずに洗濯してしまうと、表面の生地が擦れることにより色落ちの原因となってしまいます。洗濯機を使用する場合もデニム表面が洗濯層の内側に擦れて生地を傷めないように、裏返して洗濯ネットに入れて洗いましょう。
また裏返さずに洗濯してしまうと、表面の生地が傷んでしまい、デニムの耐久性が低下する可能性があります。長期間愛用するためには耐久性も重要な要素なので、デニムを洗濯する際には裏返して洗濯しましょう。
乾燥の仕方
洗濯後の乾燥は、
- 風通しの良い場所で
- 筒状になるようにして
- 陰干しする
ことをおすすめします。
乾燥器の使用は生地の縮みやゆがみの原因になるので、避けた方が無難です。
また直射日光は生地が傷めたり、色落ちの原因になるので、陰干しがおすすめです。さらに早く乾燥させないと生地を傷める原因になるため、風通しの良い場所で、筒状になるように干すのがよいでしょう。
まとめ
この記事では自分好みのリジッドデニムを育てる方法について、お手入れのポイントや注意すべきことなどを紹介しました。経年変化によって自分好みのファッションアイテムに育てる楽しみがあるリジッドデニム。
ポイントは以下です。
- 色落ちやアタリ、生地の傷みに着目して、洗濯の頻度のおすすめは「3か月に1回程度」です。
- 洗濯する際の注意点は、「お湯ではなく水を使う」、「洗剤はデニム用洗剤を使用」、「裏返して洗濯する」、「乾燥は風通しの良い場所で陰干し」です。
この記事の内容を参考に、あなたのデニムを一層自分好みで魅力的に、そして長く愛用してください。