乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.177
2020.11.27
CAR

「乗ってるだけで楽しい」モデル安井達郎の小さな愛車スマート・フォーフォー

俺のクルマと、アイツのクルマ
男にとって車は名刺代わり。だから、いい車に乗っている人に男は憧れる。じゃあ“いい車”のいいって何だ? その実態を探るため「俺よりセンスいいよ、アイツ」という車好きを数珠つなぎに紹介してもらう企画。


■14人目■
安井達郎さん(32歳)

ヤスイタツロウ。モデル。数々のファッション誌や広告で活躍するモデルであるかたわら、動画のディレクションから撮影までを行う映像クリエイターでもある。自分の日常を動画で綴る「Vlog」も定期的にアップする。instagram:@tatsuroyasui

■スマート・フォーフォー■

2019年式スマート「フォーフォー」。安井さんの乗る3世代目はルノーとダイムラーによって共同開発された。リアにエンジンを搭載して後輪を駆動させるRR。1Lターボエンジンに6速ATが組み合わされ、最小回転半径は軽自動車より小さい4.1mと小回りが効く。次期型からすべて電気自動車になると発表されている。

NEXT PAGE /

アダム・ドライバーが繋いだ出合い

2019年に公開されたジム・ジャームッシュ監督の『デッド・ドント・ダイ』でアダム・ドライバーが、ピーターソン巡査役としてスマートで現場に乗りつけていなければ、スマートには乗っていなかったかも知れない。

安井さんの好きな俳優はアダム・ドライバー。この映画での、身長189cmの彼と小さな赤いスマートとの組み合わせが、安井さんには衝撃的だったようだ。

202011_car_smart
web_gal_DSC6263
web_gal_DSC6267
web_gal_DSC6270
web_gal_DSC6289
web_gal_DSC6273
web_gal_DSC6283
web_gal_DSC6263
web_gal_DSC6267
web_gal_DSC6270
web_gal_DSC6289
web_gal_DSC6273
web_gal_DSC6283

安井さんの本業はモデルである。「映像作りは趣味です」と謙遜するが、ロックバンドindigo la Endの『花傘』やnever young beachの『明るい未来』のミュージックビデオでは映像監督を務めるほど、その才能は各方面から注目を集めている。

そもそも大学で映像を学び、卒業後はCM制作会社に就職したくらいだ。その後、縁あってモデル業に就くが「映像作品はこれからもずっと作っていきたい」という。

そんな安井さんが車を購入するのは、実はこれが初めて。

都内で暮らし、仕事へは公共交通か、ロケバスで移動するため、車が必要という状況ではなかった。しかしモデルとして働く現場には、以前このコーナーでも紹介したヘアメイクの小林さんをはじめ、個性的な車でやってくる人が多い。

「そういうのを見ているうちに憧れるようになったんです」と安井さんはいう。

最初は「いわゆるヤングタイマー(クラシックカーまではいかない旧車)を買おうと思っていました」。

実際にフォルクスワーゲン「ゴルフII」やボルボ「240」の中古車を見に行ったこともある。けれど「買おうか迷っているうちに売れちゃったり、好みの色やグレード、これならいいなと思える状態の中古車がなかったり」しているうちに、『デッド・ドント・ダイ』を見てしまったというわけだ。

アダム・ドライバーの頭が、屋根のない2代目「スマートツーカブリオ」から少しはみ出しているような姿が印象的なシーン。「あんなに大きな人が、あんなに小さな車に乗ってる!」というギャップが、刺さった。

「それまでスマートは考えたこともなかったけれど、あれで一気に自分ランキングの中でトップになったんです(笑)」。

NEXT PAGE /

広がりも再発見も。小さいスマートへの大きな期待

アダム・ドライバーの189cmには及ばないものの、安井さんも178cmと長身だ。それでコンパクトなスマートに乗ったら……。そう思ってからは結構早かった。

実用性も選んだのは3代目スマートの4人乗りモデルの「フォーフォー」。色はサファイアレッドをセレクトし、中古車を探すと、幸いなことにすぐに見つけることができた。

愛車の納車からまだ2カ月しか経っていなかいこともあり「今は乗っているだけで楽しい」という。

納車後すぐに首都高デビューを果たしたほか、モデルの仕事にもスマートで出掛けるようになった。先日は1人で会津若松まで出掛けたという。「会いたい農家さんがいたので」。

「趣味」という映像では、4年程前から「安井達郎のVLOG」のYouTubeでの公開を続けている。

「もともとカナダへ語学留学中に、英語の勉強のつもりでYouTubeを漁っていたら、ケイシー・ナイスタットさんの映像に出合ったんです。Vlogという新しいこの映像表現を、自分でもやってみたいなと」。

その一方で、過去にはプロミュージシャンのミュージックビデオも手掛けたというわけだ。

さらに今年9月にはYouTubeに「My Basic TV/ずっと大切にしたいモノカタログ」というチャンネルを開設した。サブタイトルの「ずっと大切にしたいモノカタログ」の通り、ベーシックだからこそ愛着の湧く、プロがこだわる逸品を紹介するチャンネルで、きゅうり農家が愛用するハサミを取材するため、会津若松まで出掛けていったのだ。

Vlogとミュージックビデオに加え、My Basic TVという新たな映像表現に踏み出せたのは、取材の足となるスマートが相棒となったことが大きいようだ。

「スマートで、Vlogの撮影のバリエーションも広がると思うんです。単純にカメラを車載すれば、スマートが無かった頃の映像とは全然違う映像が撮れるし、車の乗り降りやエンジンを始動させる場面、ドアを開ける締める動作……移動ひとつとってもさまざまな映像を挟み込めますよね。

それに、今までは自転車で移動していたから、持っていく撮影機材を厳選してましたが、スマートならこれもあれもと持っていけます。だから映像の幅も広げやすいですね」。

もしも初志貫徹でヤングタイマーのような、いつ故障するかわからない古い車を手に入れていたら、こんな風に積極的に表現の幅を広げようと思っただろうか。

このコロナ禍で、久しく愛知県の実家に帰れていないが、落ち着いたら帰るつもりだという。

「これまで地元を車で巡ったことがないんですが、多分スマートであちこち走り回ったら、意外と地元、面白いじゃん、ってなるんじゃないかな。いろんな再発見があると期待してますよ」。

思いついたらパッと乗って、狭そうな道に出くわしても躊躇なく進める小さな「スマート」だからこそ、安井さんの“やりたいこと”を大きく広げられるのではないか、と思えて仕方ない。

前回の「俺のクルマと、アイツのクルマ」を見る
「自由を与えてくる車」。自然体を愛する男のボルボ・240エステート

鳥居健次郎=写真 籠島康弘=取材・文

# スマート# フォーフォー# 安井達郎#
更に読み込む