「なんとかなる」から結果を急がない

情報も評価も瞬時に可視化される昨今。そんな今の時代に思うことを渡辺さんは静かに語る。
「今は本当に、結果を求められるタームがどんどん短くなっていますよね。『すぐに成果が出ないとおかしい』みたいな空気も強い。
けれど、そこで自分でも期限を決めてしまうと、どんどん苦しくなっていく気がするんです。『この年齢までにここまで行かなきゃいけない』とか、『これだけやったんだから、こうなってなければいけない』と、自分を追い込む方向にいってしまう。
僕だって、そんなに確固たる芯があったわけじゃないんですよ?(笑)」。

「それより『まあ、なんとかなるだろう』くらいの気持ちでいないと、視野が狭くなってしまう。やり続けていれば、どこかで見てくれている人がいるかもしれない。今とは違う何かを、僕に求めてくれる人が現れるかもしれない。そういうことは、なんとなく信じていました」。
焦らない、決めつけない、止めない。世界を舞台に戦ってきた俳優は、軽やかに生きていた。

しかし、第一線に立ち続けてきた人間にとって、世間の視線や評価は避けて通れないはずだ。
「プレッシャーはありますよ。公開中よりも撮影中のほうが圧倒的に大きいですね。また、舞台の緊張感は独特です。ダイレクトですから、期待も評価も、その場で全部返ってくる。
演じたあとの反応を気にすることもありますが、囚われすぎないようにはしています。僕らの仕事は、人に評価されてこそ成立するものではある。でもね、それが最終目的かと言われると少し違う。
それよりも、『何をつくれたのか』『ちゃんと向き合えたのか』のほうが大切なんです。評価が思うように返ってこなかったからといって、『やらなきゃよかった』と思うことはありませんね」。
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