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人間を信じられる物語かどうか

渡辺さんが出演作品を選ぶときに軸としているものがある。それは、「人間を信じられる物語かどうか」だ。現在公開中の映画『木挽町のあだ討ち』も、まさにそんな一本だった。
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江戸の芝居小屋を舞台にしたミステリー映画『木挽町のあだ討ち』(2026年2月27日公開/東映配給)

江戸の芝居小屋を舞台にしたミステリー映画『木挽町のあだ討ち』【2月27日公開/東映配給】Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社


原作を読んだ時点で、映像化される作品だと直感したという。

「羅生門みたいにいろいろな人物を介して、薄紙を一枚ずつ剥がすように真実が見えてくる構成がとても巧みでした。純粋にミステリーとして面白かったし、登場人物も魅力的だった。これは映画になる、という予感はありました」。

今回演じたのは、芝居小屋を束ねる篠田金治。若侍の背負った宿命を聞き、江戸中に謀略を巡らせる役柄だ。
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「篠田は侍という立場を捨てて芝居の世界に来た人間。だから根っこには優しさがある。黒幕とかではなく、みんなを包み込みながら『何か面白いことをやろうぜ』っていう感覚に近いと思います。

作中では何者なのか、なかなか明かされません。ですから、あからさまに説明することはせず、少しミステリアスで、奥歯に物が挟まったような違和感を持つ佇まいを意識していました」。



仇討ちという強い題材を扱いながら、実際に描かれているのは、人が人をどう思うかという感情。彼がこの作品に強く惹かれた理由のひとつだった。

「僕自身、あまり“切った張った”が好きなタイプじゃない(笑)。『傷つけ合うのは、もうやめようよ』という感覚は、篠田も持っていたと思う。傷つけなくても解決できる道はある。そういう考え方に自然と行き着いた人物なんじゃないでしょうか。通ずる考えがありました」。
4/5

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