連載「漫画、般若。」とは……もし“人間じゃない存在”が、同じ教室の隣の席に座っていたら?『ダーウィン事変』は、人間とチンパンジーの交雑種(ハイブリッド)として生まれた少年の青春を描きながら、正義や平等という言葉の意味を問い直す異色のファンタジーだ。
読み手の倫理観を容赦なく揺さぶるこの意欲作について、もちろん般若も一家言あるようで……。
※以下『ダーウィン事変』9巻までのネタバレあり。
『ダーウィン事変』●うめざわしゅん/講談社。アメリカを舞台に、人間とチンパンジーの間から生まれた「ヒューマンジー」の少年の人生を描いたサスペンスアクション。「マンガ大賞2022」の大賞受賞作。TVアニメ『ダーウィン事変』も毎週火曜深夜24:00よりテレ東系列で放送中。
「人間」と「チンパンジー」の間に生まれた少年
はい、来ました。今回は『ダーウィン事変』です。知名度だけで言えば『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』ほどではないかもしれないんですけど、めちゃくちゃ面白いし、内容も濃いです。
物語の舞台はアメリカで、主人公は人間とチンパンジーの間から誕生した「ヒューマンジー」の少年、チャーリー。いわゆるハイブリッドですね。

彼は、代理母であるチンパンジーから生まれたんだけど、その後は人間のお父さんとお母さん、ギルバートとハンナという夫婦に引き取られて、山の中の田舎町で暮らします。で、物語はチャーリーが高校に入学するところから始まります。
見た目は明らかに普通の人間と違うので周りからは好奇の目で見られるんですけど、チャーリー自身はものすごく考え方がシンプルで知的、無駄なこととかも一切言わない。人間以上の知能を持ちながら、身体能力はチンパンジー譲りの圧倒的な強さを持っていんですね。
ヒロインのルーシー(左)と、主人公のチャーリー(右)。
で、この物語でチャーリーと同じくらい重要なのが、彼が高校で初めて作った友達、ルーシーという女の子です。彼女がいなければこの話は成り立たないんじゃないかっていうくらい重要な存在。思春期のふたりが、友人から少しずつそれ以上の関係に変わっていく描写もあって、そこも見どころのひとつですね。
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