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安藤さんにとってのFUN-TIME

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自分なりの価値を見いだしたモノを、ひとつ買い、ふたつ買い、資料を漁り、誕生した土地など本場へ足を向ける。すると人との出会いによって新しい扉が開かれていく。
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しだいに見識が深まるプロセス自体も面白く、いっそう沼って、新しく出会うモノや情報、人というあらゆる点を面に編集して体系化。そこまでに至ると書籍化やエキシビション開催の可能性が生まれ、広く発信できるとファンが増え、グループになり、小さなムーブメントまでが生まれる。

「価値化してトレードされるステージまで達すると、してやったり。でもそこまでいくにはモノに秘められた力が大切なんです」。

日本の木彫り熊発祥の地、北海道八雲町を代表する木彫作家、柴崎重行氏による作品。民藝品ではなく、アートとしての木彫り熊を追求した愛らしい作風に、海外での評価も高まっているという。

日本の木彫り熊発祥の地、北海道八雲町を代表する木彫作家、柴崎重行氏による作品。民藝品ではなく、アートとしての木彫り熊を追求した愛らしい作風に、海外での評価も高まっているという。


“モノの力”を見極める目利き力は、それこそ散財してきたからこそ培われた。たとえば、長年興味の対象になっているのが木彫り熊。誰もが存在は知っているけれど誰もが詳しくは知らない。「ブルーオーシャンじゃないか!」と、情報化社会の現代にまだこんな存在があったのかと心が震え、踏み入れた沼は底なしだった。
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「まず造形として面白いし可愛いですよね。それでいて誕生して100年が経過していますから深みがあるんです。柴崎重行さんの熊なんて完全にアートですよね。こんなモノが、北海道の小さな町で昭和の時代から作られていた。そのことを初めて知ったとき、心から感動しました」。

「これ、何だかわかる?」と悪戯っぽく聞いてきた時計がこちら。「僕にとっての超スペシャル」という一本は、何と“イビキを防止する腕時計”。小さなマイクから音を拾うと電気が流れる仕組みになっている。ほかでは見られない稀少な存在感に魅了され、フリマで数百円で購入した。

「これ、何だかわかる?」と悪戯っぽく聞いてきた時計がこちら。「僕にとっての超スペシャル」という一本は、何と“イビキを防止する腕時計”。小さなマイクから音を拾うと電気が流れる仕組みになっている。ほかでは見られない稀少な存在感に魅了され、フリマで数百円で購入した。


掘るほどに学びや気づきがあり、楽しいから誰かと共有したくなる。そこで双方向のつながりを意識して発信。結果、ビームスや阪急メンズ大阪と木彫り熊に関するイベントを共創し、伊勢丹新宿店とは2026年1月21日(水)からイベント「プレコグのおもちゃ箱」を催すまでに。

「今回は木彫り熊以外の逸品も集めようと旧知のコレクターに声をかけています。おかげで、とんでもないモノが多く並ぶことになりそうです。

例を挙げると、北海道関連なら彫刻家・砂澤ビッキさんの稀少な作品が出ますし、時計ではセイコーが60年代にスイス天文台クロノメーター・コンクールで合格したムーブメント搭載の1本など、今回逃したら二度と手に入らないようなモノばかりです」。

実はこうした木彫り熊関連の動きは、たいしてビジネスになっていないのだとか。未来の散財王の原動力、それは利己的な虚栄心ではなく、狂気をはらむ酔狂心なのだ。
プレコグ・スタヂオ代表/編集者 安藤夏樹●出版社勤務を経て、2016年にプレコグ・スタヂオを設立。雑誌、Web、書籍の編集などを手掛ける。一方、「東京903会」を主宰し伝統的な木彫り熊の魅力を発信。26年1月21日 (水)から伊勢丹新宿店にて、稀少なモノを集めたイベント「プレコグのおもちゃ箱」を開催。

OCEANS1月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック

川西章紀=写真 小山内 隆=取材・文

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