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すべての写真を見る全世界13カ国・地域に展開するメガネ製造販売チェーン、オンデーズで会長を務める田中修治さん。
多くの趣味に興じるライフスタイルと、大切にしているFUN-TIMEについて語ってもらった。
「いつまでも富士山に登れる人生は豊か」
何者かになりたい――抱いた渇望を満たしたいと、20代から実業家として働き、働き、働き……。若かりしき頃の人生は、振り子の片側に重心を置ききったもの。調整すれば趣味を楽しめるくらいの時間はあったというが、気持ちがそちらへ向かなかった。
そして30歳で倒産寸前のメガネ製造販売チェーン、オンデーズの代表取締役社長に就任。そこからシンガポール、台湾、オーストラリアなど海外を含め約600店以上へと拡大させ、ブランドを再生・成長へ導いた。
近年は経営の最前線を離れ、今は“揺り戻し”とも呼べる時間を送っている。
ブランドカラーである黒を基調にデザインされた人気シリーズ「BACK in BLACK」はメタルフレームとプラスチック製フレームがラインナップ。デザインも写真にあるボストンやウェリントンをはじめ、数多くのバリエーションが展開される。上●1万3000円、中●1万5000円、下●1万3000円/すべてオンデーズ 0120-900-298
「本当に、毎日暇なんですよ(笑)」。
開口一番、そういって笑みを浮かべる表情は柔和だ。聞けば、今は時間を持て余し気味で、庭掃除をしながら過ごす日も珍しくないのだという。
インスタグラムでも見られるその日常は、確かにFUN-TIMEのオンパレード。バイクやクルマ、マグロ釣りにダイビング、ヒラタクワガタの飼育など、「かつてしたくてもできなかった」ことを次々に実現させている。
ただ、これらすべてに情熱を捧げているのかというと、様相は違う。
辰吉丈一郎に憧れ世界王者を目指したボクサー時代や、重要な決断を繰り返す孤高の日々を送った社長時代など、頂への途中にいる最中は、おそらく目をギラつかせ、野心に溢れる空気を纏っていたのだろう。そして、そのような佇まいが、きっと似合っていたに違いない。
だがインスタグラムの画像からも、目の前にいる田中さんからも、がむしゃらに突っ走るロックスターのような熱はない。むしろ、余裕を持って今を柔軟に生きる、そんな雰囲気だ。
「経済的な余裕があると、自然と心にもゆとりが生まれるように思います。たとえばレストランに行って、ん?と思うサービスをされても、もうイラつくことはないですから。2度と行かなければいい。そう思うだけで気持ちを切り替えられるのです」。
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