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何事にも穏やかに対処できる。その境地には40代前半でたどりついた。最初の起業から20年ほど。短くない時間をかけて、着々と実業家としての歩みを重ねていった。

“リリースした1曲が大ブレイクし一夜にして人生大逆転”というわけではない。そのため、いきなり快楽志向に陥ることもなかった。そして、経験を通して実感したことがある。

「お金で買えない事柄の価値は絶大だということです。特に体の強さや健康。空手で黒帯になることや80歳で富士山に登ることなどはお金で買えません。だからこそとても価値がある。
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実際、毎年2回の富士山日帰り登山を恒例行事にしているのですが、高齢ながら健脚の登山者をよく目にします。そうすると心底思うんですよ。僕はこちら側でありたいなって。

たとえ経済的に豊かでなくても、足腰が元気で、いつまでも富士山に登れているほうが絶対に人生は豊かだと」。

こうした意識は、幼少期に学んだ少林寺拳法にも影響を受けている。

「今でも覚えている先生の教えがあります。それは『よく心技体というけれど、“体技心”が正しい順序だ』というもの。

体が強くなれば、しっかり技を出せるようになり、常に冷静でいられる。しかし心をどれだけ鍛えても、技をどれだけ習得しても、体が弱ければ一撃でやられてしまう。体こそ、すべての始まり。

この教えが当時から今も、ずっと僕の頭の中にすみついているんです」。

田中さんにとってのFUN-TIME

田中さんにとってのFUN-TIME


体の鍛錬は現在も日課だ。毎日ジムでワークアウトし、今年はフルマラソンへの初出場を果たし、スパルタンレースにも出る。加えて秋には3冊目となる書籍を刊行予定と、頭もフル回転させている。

「本気で挑める次なるビジネスを求めてはいます。けれど実業の世界に長く身を置いてきたことからも、そう簡単に挑戦心をくすぐられる案件には出会えません。とはいえ焦らず、時が来るまで待とうと思います。

それまでは小さい子供たちとの時間を大切にしたいですね。成長するにつれ、徐々に遊んでくれなくなりますから、十分に楽しんでおかないと」。

今は束の間の休息ということか。「ほら、かわいいでしょ」とスマホの待ち受け画面を見せてくれた顔には、子煩悩な一面があった。
オンデーズ 会長 田中修治●20代から起業家として多様なビジネスに携わり、30歳でメガネやサングラスの開発・販売を行うオンデーズの代表取締役に就任。2024年、会長に就任。今秋には3冊目となる書籍『社長がつまずく全ての疑問に答える本(仮題)』を発刊。

OCEANS12月「本物だけが欲しいのだ!」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック

川西章紀=写真 小山内 隆=文

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