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拳で変わっていく景色。車が教えてくれた成り上がりの実感


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ボクサーとして成り上がっていく過程で、「いつかはいい車に」という欲が胸のどこかにあった。

「今は価値観も変わってきましたが……若い頃はその気持ちが強かったです」。


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最初にランボルギーニやポルシェに触れた瞬間は、拳ひとつで成り上がってきた男にとって、現実がひっくり返るような衝撃だったという。大阪で過ごした幼少期の景色は変わらないが、いつの間にか自分が操る車は変わっていた。その差に気づいたとき、胸の奥から静かに湧き上がるものがあった。

「僕らのやってることって、“拳で殴り合ってるだけ”じゃないですか。この拳だけでここまで来たんやなって。この感覚は多分アスリート、特にボクサーにしか味わえないと思います」。



20歳で免許を取得し、最初に選んだのはホンダ・フィット。「1年乗ったか乗ってないかくらいで、自分の交通手段として使ってましたね」。

そこから人生は一気に加速する。21歳で世界王座を獲り、そのままポルシェ・カイエンへ。さらに1年後には、ランボルギーニ・ガヤルド(後期型)を手にし、2台を並行して26〜27歳くらいまで乗っていたそう。

そして東京に拠点を移すタイミングで、一度すべてを手放した。駐車場事情や生活の導線を考慮してのことだった。



落ち着いたころに選んだのは、ジャガー・E-PACE。その後メルセデス・ベンツのGクラス(ゲレンデ)へ乗り換え、「ゲレンデは2台くらい乗り継いだ」と笑う。

車への情熱は今も変わらない。だが、その欲が向かう先は、少しずつ違う景色へ移っていった。


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