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2025.11.21

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「褒め方」で部下も組織も変わる! 中間管理職は必修すべき“ポジティブフィードバックの新常識”

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価値観や働き方の多様化に伴い、職場で部下とのコミュニケーションに悩む40代中間管理職が増えている。特に「褒める」のが苦手だと感じる人も多いのではないだろうか。
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「褒めたつもりが、どうもうまく伝わっていない」「褒められても、逆にプレッシャーを感じてしまう部下に困っている」……そんな悩みもあるだろう。

そんな今こそ注目されるのが、科学的にも効果が立証されている「ポジティブ・フィードバック=褒める力」だ。

「褒めることは、組織と個人のパフォーマンスを飛躍的に高める効果的なビジネススキル。ただし、その効果を最大化するには『正しく褒める』工夫が不可欠なんです」
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そう語るのは、組織マネジメントの専門家・伊達洋駆氏。褒めることの効能から、相手の背景や状況に合わせた褒め方の極意まで、明日から使えるフィードバック術を聞いた。

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聞いたのはこの人!
伊達洋駆さん●株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役。組織・人事領域の研究者として、科学的根拠に基づいたマネジメント手法を提唱。著書に『組織内の“見えない問題”を言語化する 人事・HRフレームワーク大全』(すばる舎)、『組織と人を動かす科学的に正しいホメ方 ポジティブ・フィードバックの技術』(WAVE出版)など。

伊達洋駆さん●株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役。組織・人事領域の研究者として、科学的根拠に基づいたマネジメント手法を提唱。著書に『組織内の“見えない問題”を言語化する 人事・HRフレームワーク大全』(すばる舎)、『組織と人を動かす科学的に正しいホメ方 ポジティブ・フィードバックの技術』(WAVE出版)など。

「褒める」は“脳”を動かす。科学が証明するビジネス効果

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――今のビジネス環境において、「褒める」という行為はどれほど重要なのでしょうか?

「褒める」という行為は、専門的には「ポジティブ・フィードバック」と呼ばれます。

このフィードバックには、大きく分けて2種類あり、ひとつは「ポジティブなもの(褒める)」、もうひとつは「ネガティブなもの(改善点の指摘)」です。近年は、この「フィードバックそのもの」の重要性がますます高まってきています。

かつてのように「仕事は背中で語れ」といったスタイルでは、個人も組織も成長しづらくなっています。成果がどうだったのか、どんなプロセスが良かったのか、どこを改善すべきなのか……こうした情報を明確にフィードバックすることが、学習と成長を加速させるのです。

――PDCAサイクルのように、検証して次に活かすということですね。

まさにその通りです。適切なフィードバックがあれば、部下の成長度は圧倒的に変わってきますし、組織全体の生産性にも直結します。ポジティブかネガティブかを問わず、まずはフィードバックという「情報提供」をしっかり行うこと。それがなければ、現代の組織運営は成り立たないと考えていいでしょう。

――その上で、「褒める」ことの効果には、どんな特徴があるのでしょうか?

褒めることの影響は非常に大きいです。世界中のさまざまな研究によって、ポジティブ・フィードバックがパフォーマンスや生産性を高めることが科学的にも明らかにされています。

つまり、適切に褒めることができれば、組織も個人もより良く変わっていく。逆に言えば、褒めないということは、その生産性を高める機会を逸してしまうことにつながります。これは、非常にもったいないことです。

――褒めることは、具体的にどのような良い影響を生むのか、もう少し教えてください。

まず、人は褒められることで脳の「報酬系」と呼ばれる部分が活性化します。これにより、快感を覚え「また同じ行動をやろう」と思えるようになります。これが、良い行動を「再現・強化・持続」させるメカニズムです。

加えて、相手の貢献を褒めて認めることは、組織内の「心理的安全性」を高める効果もあります。安心して本音が言える関係が築かれれば、たとえ失敗への不安や悩みがあっても、報告・連絡・相談が機能しやすくなり、建設的な意見交換やアイデアの発信も活性化していきます。

その結果、人間関係が強化されたり、クリエイティビティやイノベーションが活発になったりもします。

さらには、その人の「内発的なモチベーション」を高めることにもつながります。人は褒められると、「自分はできる(有能感)」や、「他者と良好な関係を築きたい(関連性)」といった人間の根源的な欲求が満たされます。すると、金銭などの外発的動機がなくても、自ら前向きに仕事に取り組む力が育っていくのです。

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