OCEANS

SHARE

「ギャング」という言葉の成り立ち


「ギャング(Gang)」という言葉は元来、犯罪集団だけを指すものではない。語源を辿ると、古英語の「gan(行く)」という動詞の過去分詞形に由来し、元々は「同行」や「旅団」を意味していた。時代とともにこの言葉は集団、とりわけ犯罪目的の組織を指すようになり、現在では一般に犯罪的な集団を意味するようになっている。
advertisement

ただし本来は中立的で、単に親しい仲間の集まりを指す場合もある言葉だった。こうした言葉の成り立ちを踏まえると、「ギャング」という単語には元々肯定的・中立的な意味合いも含まれていたことがわかる。



ギャングのルーツは奴隷解放後の自衛組織

黒人の奴隷制は南北戦争後の1865年に廃止されたが、その後も黒人たちは深刻な差別や暴力の脅威に晒され、黒人コミュニティは自衛の必要から自警団的な組織を作り、自分たちを守ろうとした。
advertisement

例えば1919年、シカゴでは白人の若者グループ(いわゆるアスレチック・クラブ)が黒人居住区を襲撃し、人種暴動によって38名が死亡する事件が起きている。このとき黒人側も対抗して自衛組織を結成。当初、それらは単なる防衛のための団体であり、まだ「ギャング」と見なされていなかったが、これらの若者グループがのちの「ストリートギャング」の原型となっている。



第二次大戦後、特に北部や西部の都市に移住した黒人が増えると(いわゆるグレート・マイグレーション)、新天地でも人種間の緊張が続いた。1940年代のロサンゼルスでは南部から来た白人の警官たちが多数採用され、警察も人種差別的だったが、白人ギャングが集団で黒人青年を暴行・殺害する事件が相次いだ時期があった。

これに対し若い黒人男性たちが身を守るためのグループを作り始めたのである。しかし警察はそうした黒人自警団を逆に脅威とみなし、激しい弾圧を行うことに繋がったのだ。

このように「自衛」の意識から生まれた組織が、時を経て地域を拠点とする非合法なストリートギャングへと姿を変えていった側面があるのだ。
3/5

次の記事を読み込んでいます。