連載「HIPHOP Hooray feat.SGD」とは......物議を醸すツイートに、韓国単独公演のキャンセル、そしてアドルフ・ヒトラーを称賛する新譜……数々の問題行動が注目されるカニエ・ウェストことイェ。今、一体何が起きているのか?
これまでもカニエの問題発言を取り上げ解説してきたSDGさんが、カニエの過激発言の背景にあるものを解説。
案内人はこの方!
ショットガンダンディ(ShotGunDandy)●HIPHOP翻訳家。幼少期から沖縄で育ったマルチリンガルのアメリカ人。HIPHOPの深い知識を活かして楽曲の和訳やスラング、メッセージやリリックの意味などをYouTubeなどで解説し話題を呼んでいる。ビートサンプラーバトル「King of Flip 2023」ではベスト4入り。Instagram:@shotgundandy X:@ShotGunDandymk3
皆さん、いかがお過ごしでしょうか? ShotGunDandy参上です。
今回は数々の名作を生み出した一方で、常に物議を醸す言動でも知られるラッパー兼プロデューサーであるカニエ・ウェスト(現在は「イェ(Ye)」に改名)について語りたいと思う。
カニエの挑発的な発言や奇行的なパフォーマンスはこれまで幾度となく世間を騒がせて来たが、2025年に入ってからもその傾向はさらにエスカレートしている。特に、XなどSNSでの過激な投稿や、『ハイル・ヒトラー(Heil Hitler)』と題した新曲の発表は、世界中で大炎上を引き起こしている。
今回は彼の数々の問題行動を、過去の言動との連続性や変化とともに考察していく。
「自分はナチスだ」Xでヒトラーを賞賛
カニエは2025年に入り、X上で相次いで挑発的な投稿を行った。2月初旬には、「自分はナチスだ」と公言してアドルフ・ヒトラーを賞賛し、反ユダヤ主義的な発言を連投。また同時期には「ショーン・“ディディ”・コムズを刑務所から解放せよ」と主張したり、妻のビアンカ・センソリに対して「自分が支配をしている」と投稿するなど、他者を挑発する内容も含まれていた。
こうした一連の投稿に対して、「週末にさらなる反ユダヤ的で憎悪に満ちたコメントを投稿したあと、イーロン・マスクに感謝の意を示した」とも報じられている。実際、カニエはX上で好き放題に発信できたことをマスク氏に礼賛した。しかしその直後、自身のアカウントを「しばらく活動休止する」と宣言し、一時は投稿を停止する事態に発展した。

その後、2025年春、カニエは断続的にXで物議を醸す発言を繰り返した。5月13日には「FREE GAZA(ガザを解放せよ)」とだけ投稿。これには人道的観点から支持する声もあった一方で、彼の過去の言動を踏まえ投稿の動機を疑問視する声も上がった。
また、5月下旬には、一連の騒動に関連して「反ユダヤ主義はもう終わりだ」と、自身の姿勢を翻すようなツイートもしている。この投稿はワシントンD.C.で起きたユダヤ系施設での銃撃事件(犯人が「フリーパレスチナ」と叫んだと報じられた)直後でもあり、自身の発言が生む影響力に配慮した発言とも受け止められた。
ただし、彼がこうした「謝罪」や態度軟化を示したのは今回が初めてではない。例えば2023年3月にも、俳優ジョナ・ヒルの映画を観て「ユダヤ人がまた好きになった」と投稿をしたかと思えば、その後も反ユダヤ的な発信を続けており、態度の一貫性の無さに批判的な見方もある。
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