ブルーカーボンクレジットが事業をサステナブルなものに

藻場再生への共同研究を行う長崎大学海洋未来イノベーション機構および同大学大学院工学研究科と、次世代型水中ドローン「アクアレモナ」を共同開発。安定して測定位置をコントロールする機能を搭載し、藻場の3Dマップ化に成功するなど事業の効率化が期待される。
では、なぜ藻場の造成が収益性を高めるのか?鍵は先述したブルーカーボンクレジットだ。
「当初から藻場の造成事業は、活用していた国の補助金がなくなれば終わりとなる普及啓蒙活動でした。しかし国がブルーカーボンの取り組みを推したことで状況は変わったのです。
弊社もブルーカーボンクレジット活用による収益を試算。そのうえで事業に本格的に乗り出すことにしました」。
ブルーカーボンとは、沿岸・海洋生態系が光合成によりCO2を取り込んだのち、海底や深海に蓄積される炭素のことだ。陸域の1.5倍近くの炭素を吸収・蓄積する海域のポテンシャルは目下注視されており、四方を海に囲まれる日本の役割は小さくない。
「CO2を吸収し炭素を隔離する役目を果たすのがブルーカーボン生態系と呼ばれる海草、海藻、塩性湿地・干潟、マングローブ林です。
海外ではマングローブ林が半分以上の比率を占めるのですが、日本では海草と海藻で54%。海に囲まれた日本ならではの特徴であり、これらが息づくのが藻場。ブルーカーボンの事業に関するポテシャルは非常に高いと私たちは感じています」。
脱炭素社会の実現に貢献するうえで地域連携は必須。直接的な会話が可能となることから各地でのビーチクリーンなどには積極的に参加している。
藻場を造成して得たブルーカーボンは、クレジット認証をして、CO2削減を図る企業等と取引を行い収益化する。日本でもブルーカーボンから創出されたクレジット取引制度として「Jブルークレジット」が創設され、20年から取引がスタートした。
やはり、いくら社会に良いことでも利益を得られなければ持続性は伴わない。インフラックスは追い風が吹く中、海洋環境の改善に邁進していく。