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2025.03.23

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世界に発信するプラスチックごみの資源循環モデル。大阪・関西万博で考える「これからのごみ箱」

テラサイクルジャパン代表 エリック・カワバタ氏(※テラサイクルジャパン合同会社は2024年12月1日に代表が交代されました。記事内では取材時の情報を表記しています。エリック・カワバタ氏は同社の現理事。)

テラサイクルジャパン理事 エリック・カワバタ氏


使い捨ての文化を見直し、循環型経済にシフトした生活様式を定着させようと、産官学の垣根を越えたプロジェクトに挑み続ける「テラサイクルジャパン」が、大阪・関西万博で「これからのごみ箱(資源回収箱)」をデザイン。

開幕前から消費者を巻き込み、世界に発信するプラスチックごみの資源循環モデルとは。ごみそのものの概念を覆す取り組みに迫った。

【写真12点】「世界に発信するプラスチックごみの資源循環モデル。大阪・関西万博で考える『これからのごみ箱』」の詳細写真をチェック

「使い捨てをなくすこれからのごみ箱」

イオン店内での回収箱による回収の様子。

イオン店内での回収箱による回収の様子。


「大阪・関西万博で生まれ変わる!」「空容器を集めて再生に参加しよう!」。呼びかけのメッセージが書かれた回収箱は、流通大手「イオン」グループのスーパーに大阪・関西万博前の今も設置されている。
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洗剤や柔軟剤、ヘアケア製品など使用済みのプラスチック容器を買い物客らから集め、万博会場に設置する資源回収箱の原料にする。リサイクル材からリサイクルのためのツールを作り出す取り組みだ。

テラサイクルジャパンとイオン、日用品メーカー「P&Gジャパン」がタッグを組んで企画した。

「普段は捨てている使用済みプラスチック空き容器を店舗に持ち込むことで、誰もが万博に参加できる。みんなで力をあわせれば、ごみを資源に変え、循環型社会の実現につなげられることを、万博を通じて日本から世界に示したい」。

テラサイクルジャパン理事、エリック・カワバタさんの思いは熱い。

打ち合わせの様子。

打ち合わせの様子。


「捨てるという概念を捨てよう」。これが、テラサイクルのミッションだ。

まずは、プラスチックなどの資源を回収し、再生させるプラットフォームづくりに着手。物流や加工など一連の請負業者を探すなか、マテリアルリサイクルを手掛ける業者が日本は少なく、ひときわ苦労した。

商談にこぎつけると、信用を得るために何度も足を運んで対話を重ねた。並行し、行政や企業に出向き、理念やビジネスプランを説明してまわる日々。

その努力が実り、たばこ販売会社や化粧品メーカーなどと連携し、回収リサイクルプログラムを始めた。吸い殻のフィルターを灰皿やクリアファイルに、化粧品の空き容器をスパチュラ(へら)に再生させ、来店客に配布するなどの取り組みを実施し発信していった。

だが、消費者への広がりは緩やかだった。回収量が増えないとリサイクルのコストもかかる。

「家でちゃんと分別しているから、責任は果たしている。日本の消費者の多くはこう思い、なかなかプログラム参加の必要性を感じてくれない。回収だけを呼び掛けてもだめだ」とカワバタさんは考えた。
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素材の違いや、再生の方法について議論を重ねる。

素材の違いや、再生の方法について議論を重ねる。


そこで、日用品メーカー「ライオン」とともに、学校の総合学習の授業の一環として使用済み歯ブラシを回収し、植木鉢に再生するプログラムに乗り出したのだ。

「捨てずにリサイクルすれば、地球をきれいにできると知って驚いた」などの声が児童・生徒から寄せられ、手ごたえを感じた。

潮目が変わったのは2018年、中国が資源ごみの輸入禁止に踏み切ってからだ。輸出量が上位だった日本は対応に追われ、テラサイクルの活動がメディアでも取り上げられるようになった。

パートナー企業やブランドが増え、詰め替えパックやおくすりシート、紙おむつ、ペンなどさまざまな廃棄物を「ごみにしない」プログラムを矢継ぎ早に実現していった。
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イオン店頭用ポスター。

イオン店頭用ポスター。


2021年には、同じく「P&Gジャパン」と「イオン」と協働で、イオングループ各社の店頭においてP&G製品の使用済みプラスチック製空き容器を回収し、フェイスシールドの素材としてリサイクルするなど、少しでも多くの人が循環型社会の実現に自分も貢献できるということを感じられるよう、多様な市民参加型の協働プロジェクトを実施してきた。

こうした積み重ねが、大阪・関西万博の「Co-Design Challenge」へとつながった。

「どれだけの人が参加してくれるか未知数だが、日に日に反響は広がっており、きっと大きなうねりになると信じている。閉幕後は回収箱を地域に戻し、分別回収した使用済み容器などをまた、新たに再生利用するために活用していきたい」。(カワバタさん)

※大阪・関西万博を契機に「これからの日本のくらしやまち」を見つめ直し、多彩なプレイヤーとの共創により新たなモノやサービスを万博で実現するプロジェクト



今年で日本法人の事業開始から10年の節目を迎える。ごみとされてきたものに新たな可能性を見いだす活動は全国に広がり、行政との連携も飛躍的に進んだ。

「経済効率の問題があるから、リサイクルやリユースの取り組みは一挙には進まない。でも、日本人はコミュニティーを重視し、みんなで頑張るという強みをもっている。いろいろなステークホルダーを巻き込めば、なんでもできるということを示したい。日本の挑戦は他の国々にとっても良いモデルになるはずです」。(カワバタさん)
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