大人になって発達障害を診断される理由と社会の現状
――発達障害には、さまざまな種類がありますが、具体的にどのような障害なのでしょうか? 太田 発達障害は生まれながらの脳の機能障害です。大きく括ると3種類あり、ひとつはASD(自閉スペクトラム症)。これはコミュニケーションが苦手だとか、こだわりが強いという特性があります。
ふたつ目はADHD(注意欠如・多動性障害)で、不注意が多いとか多動性・衝動性があります。あとはSLD(学習障害)ですね。これは読み書きや簡単な計算といった学習に困難が生じて、極端にうまくいかないものです。
――今まで100人近くの発達障害者を取材してきて、発達障害を疑ってクリニックに行っても発達障害の診断が降りず、この烏山病院でようやく発達障害の診断が降りたという方もいました。発達障害を診ているクリニックが少ないということですか? 太田 うちの病院では、2008年から発達障害外来を始めました。当時、発達障害は子供の障害であって、“大人に診断をする”という概念自体がそもそもありませんでした。
また、精神科医は発達障害を診るような訓練をしてきたわけではなく、専門的に発達障害の患者さんを診る先生が増えてきたのは、この十数年です。
現状でいうと、やはりまだ十数年しか経っていないので「うちでは発達障害を診ていません」というクリニックや病院もあります。昔に比べてだいぶマシにはなってきていますが、地方ではまだまだ十分ではないと感じています。
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