「普通をずらして生きる」という、気になるタイトルの本がリリースされた。
著者は、千葉工業大学の伊藤穰一氏と保育事業を展開する松本理寿輝氏。一冊のテーマになっているのは、表紙に記されている「NEURODIVERSITY」である。
伊藤穰一(いとう・じょういち)⚫︎1966年生まれ。ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として、主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。2011年から2019年までは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長に奉職。非営利団体クリエイティブコモンズの最高経営責任者のほか、ニューヨーク・タイムズ、ソニー、ナイト財団、マッカーサー財団、ICANN、Mozilla財団の取締役を歴任した。2023年より千葉工業大学学長。©︎森清
ニューロダイバーシティとは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)というふたつの言葉を掛け合わせた単語。
脳や神経、それに由来するさまざまな特性の違いを多様性と捉えて、活躍の場を広げていくことを目指す考え方だ。
松本理寿輝(まつもと・りずき)⚫︎1980年生まれ。2003年一橋大学卒業、博報堂入社。不動産ベンチャーを経て、かねてからの構想の実現のため、2010年ナチュラルスマイルジャパン株式会社を設立。認可保育所「まちの保育園」、認定こども園「まちのこども園」を都内6箇所にて運営。保育の場をまちづくりの拠点として位置づけ、豊かな社会づくりを目指している。レッジョ・エミリア・アプローチ国際ネットワークの日本窓口団体「JIREA」の代表もつとめている。
発達障害や自閉症と診断される人は、“標準的”な人とは違うとして「区別」されてきたこれまで。しかし、これからは両者が「混ざる」ことで社会は進化していく。
人とのコミュニケーションは苦手でも、絵の表現が素晴らしい人はたくさんいる。踊ることで気持ちを鮮明に伝えられる人もいる。ちょっとした音や光で動揺してしまうけど、落ち着く環境があれば、高度な計算やプログラミングにズバ抜けた能力を発揮する人がいる。
みんなと手を取り合う、ニューロダイバーシティな新世界。教育や地域づくりを手掛けてきたふたりの言葉で紡がれる思考法は、これからの教育、地域社会、組織を前進させる手助けになるに違いない。
普通に生きたい人も、なかなかそうはいかない人も、普通に飽きてきた人も、ヒントを見つけるべく、普通じゃない一冊のページを開いてもらいたい。
Forbes JAPAN 特別編集『普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門』著者:伊藤穰一、松本理寿輝価格:1430円発行:リンクタイズ株式会社販売:株式会社プレジデント社インターネットでの購入はこちらから