はじめての日本は六本木
2024年にセルフリノベした、中野ハウスのダイニングにて。
日本に初めて来たのは2015年。このときもモデルの仕事で、2カ月ほどの滞在でした。それまでは日本のことは何も知らなくて、とにかく連れて来られたという感じ。
滞在したのは六本木にある(事務所が用意した)モデルアパートでしたが、それまでの経験からニューヨークのような環境を覚悟してました。いろんな国に滞在すると比較できるようになるんです。
でも日本の部屋は小さくても綺麗だし治安も良い。どこでも美味しいものが食べられることにも、日本人の礼儀正しさにもびっくりしました。当時は六本木と渋谷くらいしか知らなかったけど、お気に入りの店に通ったりして、日本の文化も好きになりました。東京は優しい街だと思いました。
アントンさんのリノベハウスは和室のいいところは活かして日本と北欧スタイルを取り入れるのが特徴的。
その後も2回、六本木のアパートに滞在しました。2度3度と過ごすうちにもっとこの国の文化に惹かれていって、帰る頃になると、「もう少しいたい」「まだ帰りたくない」と思うようになってたんです。「いっそのこと日本に住もう」と決めて、2018年の末に来日しました。
その頃には日本語もほぼ独学で習得していましたが、さすがに家を買うとまでは考えていませんでした。
日本は部屋を借りるのが大変……なら買ってしまえ!
来日した当初はシェアハウスに暮らしていました。やっぱり自分だけの家がよくて賃貸物件を探したのですが、外国人として日本の賃貸物件を借りると賃料以外にも保証金とか色々かかるし、システムもよくわからなくて。海外だったらオーナーと直接交渉できるけど、日本は違います。
例えば、前金として半年分を先に払うところもあれば、保証人が必要だったり、鍵の交換代だったり……といろいろかかる。何より「礼金」という、返ってこないお金を払うことも海外ではあり得ないのでびっくりしましたね。日本ほど部屋を借りるのに複雑でお金がかかるところもないです(笑)。
それで、もう借りるんじゃなくて買ったらいいんじゃないかと思って。今思えばクレイジーなアイデアだけど、日本が好きで、長く住みたいという気持ちの表れだとも思います。その頃はまだ日本に移住して1年も経ってなかったけど、三軒茶屋のボロボロの中古マンションの一室を1400万円で買いました。
そのとき、買えば自分で好きにDIYリフォームできるんだって気付いたんです。僕は子供の頃からリノベやDIYに親しんでいたので、いつかやろうと思っていたことを思い出したんです。
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