「失敗から学ぶ移住術」とは…… 移住や住み替えに関する良い面だけでなく、ホントに知っておくべき「甘くない現実」や「想定外」にフォーカスする本特集。
今回登場いただくフォトグラファーの山本 大さんは、セルフリノベーションした一軒家への移住を実現したが、その過程にはどんな“失敗”があったのか。
理想のリノベーションハウスを完成させるまでの“理想と現実”の記録を紹介したい。
▶︎この記事の画像ギャラリーを見る 中古一軒家を買ってDIYリノベする人 山本 大●写真家。有名撮影スタジオ勤務後、清水将之氏に師事し、その後独立。以降『OCEANS』をはじめとする数々のメディアや広告などで活躍。また、父の影響からDIYにも積極的で、旧宅では愛犬用にリビングの床をすべて無垢材に張り替えるなど、プチDIYリフォームの経験者でもある。
家族の一員である愛犬主体のライフスタイル
山本さんの人生は犬なしには語れない。現在も、愛犬のゴールデンレトリバーは、家族の一員として夫婦の癒やしとなっている。
ゴールデンレトリバーのピニィちゃん(8歳)
「小さい頃から犬に囲まれて育ちましたから、もう犬との生活は自然なこと。ただ、結婚前までは飼うのをためらっていたんです。
僕が仕事などで外出するとひとりぼっちになってしまいますから、それは避けたかったんですよね」。
狛江での自宅。
29歳のときに結婚。東京・狛江市に三階建ての一軒家を購入し、一週間後には家具よりも先に一匹のゴールデンレトリバーを家族の一員として招き入れた。
そして、犬が少しでもストレスを抱えないようにと、リビングダイニングを犬仕様に自らリフォームしている。
「もともと大型犬は関節が弱いんです。だから、滑りやすいフローリングの床だと怪我をしたり関節を痛めたりする危険がある。そこで、リビングダイニングの床を自分で無垢材に張り替えました」。
幼少の頃からよく遊んだ、父親が建てたログハウス。
「もともと父が福島に、屋根と基礎工事以外はすべて自分で建てたログハウスを持っていたんです。
幼稚園の頃からそこへは頻繁に足を運んでいましたし、納屋には工具も豊富に揃っていましたから、そこでDIYに対する好奇心や耐性は育まれたかもしれません」。
人生の終着地は北海道と決めていた。けれど……
マイホームは昔も今もイチ家族からしてみたら念願。とはいえ山本夫婦は、狛江に住み始めた頃から、そこにはずっと住むつもりはなかったという。
「最終的には北海道に住みたい、とは妻とも話をしていました。彼女は東京で仕事をする以前、北海道の十勝の酪農場で働いていたんです。結婚前から頻繁に北海道へは行っていたみたいですしね。
結婚後も、僕と犬と一緒に年に一度は必ず北海道に行っています。犬と一緒に車で(笑)。それと同時に、実は、北海道にある不動産屋さんを回って物件を物色してもいました」。
北海道ではさまざまな土地を見て回った。
おぼろげながら抱いていた北海道移住計画。しかし、地価は格安ながらもちょっとした悩みの種があった。
「すごいんですよ、北海道。やっぱり広いしめちゃくちゃ土地も安い。ただ、個人的には大自然の中に住みたい希望はありましたが、そうすると一度整地して、インフラも整えなければいけない。それがまたすごいお金がかかるんです。
住宅地付近だと問題ないんですけど、こちらと変わらず住宅地付近に住むのであれば、わざわざ北海道まで行く意味はあまりないですよね」。
道内でいい物件があればそこに決めようと考えていた山本さん。当時は、そこまでセルフリノベーションにこだわりはなく、既存のモノを手直しするぐらいのいわゆるリフォームを考えていたという。
ただその矢先、とあるきっかけから北海道は少し先の目的地とすることになる。
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